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【書評】金城一紀「レヴォリューションNO.3」-パワフル&個性的な悪ガキ高校生たちがなんともいい!

 「フライ、ダディ、フライ」「SPEED」と続くザ・ゾンビーズ・シリーズの第1弾。金城一紀がいいのは、第一に文章の勢い、第二にキャラの立ち具合だ。この小説は「GO」などとは違いコリアン・ジャパニーズの話ではないのだが、出てくるキャラがパワフル&個性的でなんともいい。

 

 短・中編3作、主人公は共通なので、おちこぼれ高校生の連作冒険譚という感じだろうか。表題作は、近くにある女子高の学園祭襲撃の話。チケット制でクズな高校生には侵入不可能なその学園祭にどうやって侵入するか。悪ガキグループ、ゾンビーズがない知恵をしぼりにしぼって挑戦する姿がなんともおかしい。好きな女の子にだまされその仲間にカツアゲされて急に不良になってしまった主人公の「僕」、学内の有料人生相談で金を稼ぐ過剰な色気と豊富な知識を持った混血児アギー、読書好きの武闘派、コリアン・ジャパニーズの舜臣(スンシン)、どいつもなかなかいい面構えをしていそうな男たちだ。ラスト。女子高襲撃も感動的だが、ゾンビーズの精神的支柱で難病で入院中のヒロシへ「僕」が放つパワフルなメッセージ。これはちょっと泣けてくる。

 

 高校生の男たちの話というと、なんだか汗くさくて、下品な感じになりがちなのだが、金城の作品にはそれがまったくない。しっかりと「品」があるのが素晴らしい。ゾンビーズ・シリーズ、これを読んだら第2弾、第3弾が絶対読みたくなる。そして、金城さん、そろそろ痛快な新作が読みたいぞ。よろしく!!

 

 

2010.9.6 あ~ビックリした。金城さんのブログがあった。「帰ってきた「映画日記」」だって。これはチェックしなきゃ。新作の話も出てきそう。で、暑いから運動会なんて止めましょうね。練習で死ぬぞ。

 

 

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