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【書評】盛田隆二「身も心も」-リアルの中に見えてくる老いらくの恋の真実

 前回の「ダンスホール」に続く、光文社テーマ競作小説「死様」の中の一冊。嫁に勧められイヤイヤ通い始めた老人クラブの絵画同好会で礼二郎は幸子という女性と出会う。エキゾチックな顔立ち、上品な笑みに強く惹かれる礼二郎だが、自分はもう75歳。64歳の彼女とは歳の差もある。これ、いわゆる老いらくの恋の物語である。設定や出会いにはあまり新鮮味は感じられない。しかし、そこは「リアリズムの名手」盛田隆二。礼二郎の亡くなった妻への想い、幸子のつら過ぎる過去、そして、出会いを重ねながら少しずつ打ち解けていく2人の様子を丹念に描いていくことで、いつの間にか物語にグイグイと引き込まれていく。

 

 さて、この恋、このままうまく行くのかと思ったら、礼二郎に大きなアクシデントが起こる。実はここからがこの話はおもしろい。おもしろいというかグッと来る。様々な不安に苛まれながらも幸子との日々を大切に思う礼二郎、彼との出会いを喜び変わらぬ愛を捧げる幸子。「死様」というテーマもあり、ラストに向けてこの2人の恋がどうなるのか、ページを繰る手が止まらなかった。さすが、盛田隆二!

 

 光文社のこのテーマ競作小説シリーズだが、一つひとつはそれほど長くはないので、文庫2冊に6人分を入れて、全部読めるというような文庫書き下し企画の方がよかったのではないか?他の4人の「死様」は気になりながらもパスの予定。

 

◎「身も心も」は2014年10月、光文社文庫で文庫化されました。

2011.7.24 東京は台風の後、涼しい日々が続いている。今週も気温はそれほど高くならないそうだ。いいぞ、いいぞ、このぐらいがいいっ!

 

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