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【書評】佐藤正午「カップルズ」-作者自身が短編のベストと語ったこの一冊!おぉさすがだ

 作者である佐藤正午は、地元・長崎新聞のインタビュー(2013.1.8)で代表作は?と問われ「長編では「5」、短編集なら「カップルズ」」と答えている。「5」はいい、というかスゴい。これは必読だ。「カップルズ」は未読だったので、文庫化を機に読んでみた。ううむ、やっぱりこの人はおもしろい。こういう小説らしい小説を書く人が僕は本当に好きだ。

 

 さて、この物語、タイトルの通り、男と女をテーマに描かれた7つのストーリーが収録されている。話は噂から始まる。妻の不倫の噂、男の夜逃げの噂、酒場で起こった事件の噂などなど。その噂を聞いて真相を探ろうとする作者自らを投影したような、していないような「小説家」が語り手だ。ある噂がめぐりめぐって事実とは違うものになる。あるいは当事者の思惑とは別のところで違う噂を生み出す。著者がここで描き出すのは人間というもののおかしさ、愚かさ、悲しさ。さらには、人と人とのコミュニケーションの微妙さ、などなど。そこには、まるごとの「人間」がいる。

 

 佐藤正午という作家は本当に巧みだ。巧みだけれどイヤミではない。いつの間にか彼の術中にはまり、読み終わってみれば、いやぁやられたなぁ、という類いの巧みさだ。1人の男が絡んだ2つの事件と女たちを描く「アーガイルのセーターはお持ちですか?」と「小説家」自らの噂に話が及ぶラストの一編「グレープバイン」が素晴らしい。

◯佐藤正午の他の本のレビューはこちら

 

2013.3.16 東京、桜開花したんだ。武蔵野市の桜まつりは4月の7日かぁ。ううむ。読書は西田征史「小野寺の弟 小野寺の姉」。

 

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