また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2017.10/2週)

  さて、出る本。注目は川上弘美「森へ行きましょう」(10/11)。日経新聞夕刊に連載された小説です。パラレルワールドに生きるふたりの女性が主人公の「愛と結婚を描いた長編小説」。ううむ、これは楽しみ!!おっ、表紙もいいぞ。

 

 盛田隆二「焼け跡のハイヒール」(10/11)も気になる一冊。「父よ、ロング・グッドバイ 男の介護日誌」で両親の晩年の姿を描いた筆者が、彼らの出会いと青春を描いた物語です。ぜひ、読みたい。

 

 すでにお伝えしましたが、ノーベル賞受賞のうれしい影響でカズオ・イシグロの「忘れられた巨人」(10/14)の文庫化が早まりました。詳しくは下の記事を読んで欲しいのですが、もし彼の小説を一冊も読んだことがないのならこの小説から入るのはあまりおすすめできません。おもしろいんですけどね。

 


 

 さらに文庫化が2冊。北村薫の「太宰治の辞書」(10/12)は、2年前に出た《私》シリーズの最新刊。芥川龍之介や太宰治ファンにはたまらない話です。ただ、これはやっぱりシリーズの最初から読んで欲しいなぁ。旧ブログですが、僕の書評はこちら。


 

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【文学賞】第8回「山田風太郎賞」ノミネート作品が発表になりました

 ノーベル賞騒動?で忘れちゃうところでしたが、山田風太郎賞の候補作品が発表になりました。またまた僕は全部未読ですが、話題作が揃っています。どの物語が取るのかなぁ?去年は塩田武士「罪の声」でした。あれはおもしろかった。さて、ノミネート全5作です。

 

 

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【映像化】カズオ・イシグロ原作ドラマ「わたしを離さないで」再放送、決定!

 おぉ、TBSラッキーですね。昨年の冬ドラマだったカズオ・イシグロ原作の「わたしを離さないで」、10月14日、15日にTBSチャンネル2で再放送されることが急遽決まりました。TBSチャンネル2はCSのチャンネルでスカパーやケーブルテレビに入っている人は見られる可能性が高いチャンネルです。ぜひ、チェックしてみてください。

 

 このドラマ化、もちろん賛否両論ありましたが、僕はけっこうおもしろく見ました。主役の3人、綾瀬はるか、三浦春馬、水川あさみはとてもよかったです。放送当時出した僕のメルマガにはこんなことを書いています。

 

「わたしを離さないで」で驚くのは、原作を思い切りよく変えている

こと。この世界名作文学級の傑作を…脚本家の森下佳子すごいなぁ。

ここまでいじるのはかなり勇気がいること。原作者のカズオ・イシグ

ロもそれを許してるわけで、これもまたすごい。気になるのは、原作

よりも水川あさみが演じる役のいじわるさが際立っているので、それ

が本来のテーマを壊さないか。そのバランスが今後の見どころだと思

います。

 

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【文学賞】2017年ノーベル文学賞は「わたしを離さないで」のカズオ・イシグロ!最初に読むのならば

 今年のノーベル文学賞はカズオ・イシグロに決まりました。好きな作家なのでよかったです。パチパチパチ!村上春樹は受賞を逃しましたが、考えてみると、カズオ・イシグロの前に村上春樹が取っちゃうのは、何だかまずいような気がします。村上さんはそのうち取れるからいいんじゃないの、という感じ。えらそう?

 

 おすすめの「日の名残り」は、まだ本のブログを始める前に読んだので感想がないのですが、2005年の「わたしを離さないで」、2015年の「忘れられた巨人」という長編2つ、短編集の「夜想曲集」は旧ブログで書評を書いているのでぜひ読んでみてください。

 

 

 

 まったく未読の人が読むのだったらやっぱり「わたしを離さないで」かな。映画やドラマになっているので観た人も多いでしょう。小説は最初ちょっととまどうかもしれませんが、読んでいるうちに物語世界にグイグイと引き込まれていくはずです。あ、日本でテレビドラマになったときに綾瀬はるかと対談したんですよ。こんな記事が。

 


  短編集の「夜想曲集」もとてもおもしろいです。これも読みやすいのでおすすめ。この2冊で興味を持ったら「日の名残り」など他の作品を読んでみたらいいと思います。あ、「忘れられた巨人」は10月19日(※10月14日に繰り上げ発売になりました)に文庫になります。グッドタイミングですが、この小説はちょっとクセがあるので最初に読むのは避けたほうがいいんじゃないかなぁ。

 

 映像化された中ではやっぱり映画の「わたしを離さないで」が好きだなぁ。これ初めて見たときはかなりショックを受けました。本は本で違ったおもしろさ、怖さがあるのだけど。映画観てない人はぜひぜひ観てみましょう。

 

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【エッセイ/書評】酒井駒子「森のノート」-彼女の文章は簡潔でムダがなく静謐だ。森の中で紡がれた優しさがある

 まず、本の佇まいがいい。表紙の「絵」とデザインされた「タイトル」。これだけで何だかうれしくなってしまう。中身も細部までデザインがいきとどいていて、とても美しい。いいなぁ。

 

 絵本作家・酒井駒子さんの初めての画文集。酒井さんの絵は大好きだ。「エッセーのタイトル」と「絵」でひとつの見開き、エッセー本文も見開きで完結していて計4ページで1章。全36章の構成になっている。

 

 36プラスαの絵があるのでそれを見ているだけでもあきない。実は、絵とエッセイにはあまり関連がないのだが、意外とどこかでつながっているのかもしれない。酒井駒子の文章は簡潔でムダがなく静謐だ。森の中で紡がれた優しさがある。そして、時々、鋭さも感じる。鋭い刃をこの人は隠し持っている。

 

 最初の一編「子犬」、からまつの森を歩いて行くと、どこからか子犬が鳴くような「くぅーんくぅーん」という声が聞こえる。二匹いる感じがして、声のする方へと歩いていく。すると、なぜか森の中にマンホールがあって…という話。結末はヒミツだけどなんだかいい。

 

 36の話、どれも好きだけれど特に印象に残るものがある。ニワトリを抱きうっとりしている男に心惹かれる「男の人」、夏が来て躁状態になっている森を描いた「夏」、家の窓に激突して死んだ小鳥を埋める「シジュウカラ」、そして、空を飛ぶ飛行機を見て「ぬるんとした生き物みたいだった」と思う「軍用機」。

 

 山の家と東京を行き来している筆者の周りで起こる様々な出来事。自然やそこに生息する生き物たちに注がれる真摯なまなざしは、彼女の絵そのものだ。手元に置いて時々読み返したい、そんな一冊。

 

 2017.10.5 公示日まであと少しですが、まだまだいろいろありそうだなぁ。読書は宮部みゆき「この世の春 下」

 

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【ドラマ】原作本にも注目!2017秋ドラマは何を見る?

 さて、秋ドラ、そろそろスタートですね。個人的に見たいと思っているのは3本。まずは、日曜21時TBS系の「陸王」。「半沢直樹」の池井戸潤原作でスタッフも同じメンバー。老舗の足袋業者がランニングシューズを作る話でこれは視聴率も取れそう。主演は役所広司。山﨑賢人、竹内涼真、阿川佐和子、寺尾聰ほか。今期は原作ありのドラマが意外と少ないです。

 

 

 見たいのはあと2本。火曜22時TBS系の「監獄のお姫さま」、宮藤官九郎のオリジナル脚本で、演出は「逃げ恥」の金子文紀。そして、小泉今日子、満島ひかり、森下愛子、菅野美穂、坂井真紀、夏帆など豪華出演者も話題です。女子刑務所の仲間たちの復讐劇。あ、主題歌は安室奈美恵だ。

 


 木曜21時テレ朝系、第5シリーズになる「ドクターX〜外科医・大門未知子」。まぁ、これはやっぱり強いよなぁ。以上、3本は見ます。

 

 

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2017.10/1週)

 さてさて、10月になっちゃいましたね。出た本。そうそう、これも気になっていました。ビートたけし「アナログ」。アマゾンの批評は賛否両論ですが、ほめてる人が多いですね。ま、自分で読んでみなくちゃなぁ。読みます。

 

 出る本。吉田修一の新作エッセイが本日2冊同時発売。「泣きたくなるような青空」は大人が記憶と向き合うための25篇、「最後に手にしたいもの」は大人が自分自身に満足するための25篇と紹介文にありました。木楽舎のページに詳しい紹介があるので読んでみてください。

 

 

 そして、西加奈子の直木賞受賞作が文庫に!!本屋大賞でも2位になった「サラバ!」(10/6)です。上中下の3冊。読もうと思ったんだけどなぁ、読んでない。僕のような人も多いと思うのでこの機会にぜひ!

 

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