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【書評】朝井リョウ「何様」-「何者」を見事に裏返す表題作とその先にあるささやかな希望!

 就活生を描いて直木賞を受賞した「何者」、そのアナザーストーリーだ。といっても、この小説集、すごく凝っている。全体は6つの短編からなっているのだが「何者」とのつながり方がそれぞれ違う。高校時代に戻ったり、ちょっと前に戻ったり、「何者」の登場人物がワキ役として登場する未来のストーリーもある。とても手の込んだ構成で朝井リョウの作家としての力量を強く感じる。しかも、これらの物語を通して「何者」の登場人物一人ひとりの人物像がさらに明確になっている。


 そして何よりも圧巻なのが最後の一編、表題作の「何様」だ。ここには「何者」の主要人物は登場しない。主人公は新人ながらIT企業の人事部に配属されてしまった克弘。面接の準備などアシスタント的な立場だったが、上司から急に二次面接の面接官を命じられる。しかし、実際の現場では様々な思いがあふれてきて学生たちに何も問うことができない。彼は思う。「そんな立場にない自分が、まるでもとからそうであったかのように振る舞えるのか」「もともと面接をするような人間でもないのに、もともとそんな人間ではないのに」。

 

  朝井リョウは「何者」で就活生を描き、「何様」でそれを見事に裏返してみせた。選ぶ側と選ばれる側、人が人を選ぶということ、そこに横たわるあやふやさ。しかし、この物語、それだけでは終わらない。自分の身の上に起こる「一大事」と先輩の言葉を通して、最後に克弘が感じるささやかな希望。それこそが、何者→何様で朝井リョウが大切にしたかったものだと思う。この一編、見事!!

 

◯朝井リョウ「何者」の書評はこちら(旧ブログ)。


 

 2016.12.15 いやぁ、アントラーズ勝っちゃいましたね。Rマドリードと決勝でしょうかね。うふふ。読書は、窪美澄「すみなれたからだで」。

 

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