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【書評】角田光代「八日目の蝉」-3月末テレビドラマ化!「八日目の蝉」は読んでから見よ!

この逃避行、その果てに彼女は何を見たのか?

すでに13万部を突破した角田光代、昨年の話題作。ドラマ化のニュースを聞いたので急いで読んだ。

 

不倫関係にあった男の家から女が赤ん坊を連れ去るところから物語は始まる。それが長い逃亡生活の始まりだ。3年にも渡る女と赤ちゃんの逃避行!彼女は友だちの家を皮切りに各地を転々とする。最初はこの女にあまり共感できずにいたが、安住の地ともいえる場所にたどりついた時点で、「この2人の未来」に対する思いが強く湧いてくる。赤ん坊だった女の子も3歳になり、女を母親だと信じている。「この2人、これから先いったいどう生きていくのか?」。しかし、この逃亡の物語は意外なほどあっけなく幕を閉じるのだ。

 

そして、次に用意された新たな物語は18年後。主人公は誘拐された女の子だ。ここに来て初めて、私たちはこのストーリーが逃亡の物語ではないことに気がつく。子どもを奪われた夫婦、当事者である女の子、そして、犯人の女。それぞれがたどった18年という歳月。これは母性の物語であり家族の物語であり、孤高の魂の物語だ。あえぎながら苦しみながら、それでも強く生きる人々を描いたこの小説、その結末に心が震えた。

 

◎「八日目の蝉」は2011年1月、中公文庫で文庫化されました。

 

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