川上弘美×谷口ジロー、こんなコラボ、贅沢過ぎる!
谷口ジローという漫画家は特にヨーロッパでの人気が高く、幾つか賞も取っている。彼が欧州で人気があるというのはとても良くわかる。例えば「孤独のグルメ」のような食をテーマにしたものを描いた時でさえ、彼の漫画はとても思索的なのだ。フランスの漫画家ジャン・ジローなどの影響を受けたそのタッチもまた、あちらの人には魅力的なのだろう。そんな谷口が川上弘美の名作を手がけた「センセイの鞄」。これはどちらにとっても、ちょっと怖い挑戦のはず。でも、両者が認め合ってるからこそ実現したコラボに違いない。
小説「センセイの鞄」は、馥郁とした文章がいい。やさしく、やわらかく、ふんわりとしてる。それでいて深みがある文章。年老いたセンセイと37歳のツキコさんの恋物語はなんだかおかしくて、悲しくて、苦しくて。それが谷口さんの絵でリアルに動き出すとどうなるか。ちょっと心配もあったが、まさにそれは川上ワールド!そしてもちろん谷口ワールドでもあった。原作を逸脱することなく、しかし、谷口さんらしい語り口がなんとも素敵なのだ。第2巻、本日発売です。
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