テレサ・テンには、あまり興味がなかった。歌はうまいとは思ったけれど、日本では演歌路線だったし、きちんと聴いた事はたぶん一度もない。作者である有田芳生さん(国会議員かぁ)のホームページは以前からチェックしていて、この人の真摯さがけっこう気に入っている。本を書く時の態度もまさにそうで、構成や文体などいろいろ悩みながら書き進めていることをブログで知っていたので、この本はぜひ読んでみたかった。
その死後にスパイ説などいろいろ出た彼女だが、一番重要なポイントはテレサが台湾人であったことだ。中国に対する愛憎半ばする複雑な思いが、天安門事件を境に激しい怒りへと変わっていく。その直前には、中国から招待を受けていたテレサだが、事件の後は抗議のコンサートで歌ったり、彼女なりの憎悪を募らせていく。台湾人だからこその「自由への希求」がテレサにはあったのだ。
スパイ説の真相、死の原因なども含めてアジアの歌姫の真の姿を有田さんは精緻で徹底したリサーチと嘘のない言葉で綴っている。そこにあるのは絶望と希望の間で揺れ動く一人の聡明な女性の姿だ。その魂の一途さが強く心を打つ。今度は本当に彼女の歌を聴いてみたくなった。
2010.7.24 前言を簡単に撤回して悪いんですが、もぉぉぉ暑いっ!!僕がよく見るウェザーニュースは晴れだと黄色い太陽なんだけど、猛暑日は赤いギンギラの太陽になっちゃう。で、今、週間予報を見たら(見よ!)えぇ!暑さのピークは週末に越えるんじゃないの??あかん…、もうダメだ。
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