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【エッセイ】村上春樹「おおきなかぶ、むずかしいアボカド 村上ラヂオ2」-いつも通りのユーモアと素直な語り口

 村上エッセイは大好きだ。この人はエッセイもまたうまい。「おおきなかぶ、むずかしいアボカド」はアンアンの連載をまとめたもので以前に出た「村上ラヂオ」の2に当たる。肩の力が抜けたリラックスしたエッセイで、これは中でも書いてあるのだけど、ヘンに女性を意識していないのがいい。そして、いつも通りのユーモアと素直な語り口。この素直さって、エッセイがおもしろいかどうかの大きなポイントだと思う。ヘンに気取っちゃダメ。時にはこちらが「あややややぁ~!」と思うようなとんでも発言があってもいい。裸の自分を見せちゃう。そうするとこちらも楽しい気分になれるのだ。

 

 いろいろとおもしろい話が出てくるが、終わりの方に印象的な話が多い。プーシキンの「その一発」という小説に出て来る決闘の最中もサクランボを食べ続ける士官の話「決闘とサクランボ」、なぜ日本の書店では男女で作家の棚が分かれてるかと問う「男性作家と女性作家」。個人的につらい時期だった頃に旅したベネチアでずっと聞いていた井上陽水の「ネガティヴ」とキョンキョンの「バラード・クラシック」の話「ベネチアの小泉今日子」などが好きだ。なんでもないテーマを取り上げながら、心の中にストンと落ちてゆく、その感じがいい。1冊目同様、大橋歩による版画の挿絵。これもまた幸せ。

 

◎「村上ラヂオ2」は2013年11月、新潮文庫で文庫化されました。

2011.10.30 ちょっとバタバタしてて更新が遅れました。すみません。プロ野球もいよいよ終盤ですね。どうなるのかな?読書は楽しみにしていた椎名誠「そらをみてますないてます」に突入。

 

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