このブログでも何冊もその小説を紹介している佐藤泰志。彼の生涯を描いたドキュメンタリー映画が、今日5日から新宿の映画館で上映される。タイトルは「書くことの重さ〜作家佐藤泰志」、監督は「二重被曝」などの稲塚秀孝だ。「海炭市叙景」が映画になり注目を集めたことを契機に、彼の小説が文庫化された。僕もすべてを読んだが、佐藤泰志の物語には強く心を惹かれた。不安定な現状、抱えきれない不安、その先にあるかすかな希望。そこには作者自身の心の投影と彼が生きた時代が垣間見えて来る。
佐藤泰志は「海炭市叙景」を文芸誌「すばる」に断続的に連載し、その途中、構想した全36編のうち18編を書き上げたところで自死してしまう。それは1990年のこと。41歳の生涯だった。
5度の芥川賞落選、三島由紀夫賞も候補になりながら賞には届かなかった。そんな作家の物語。小説もぜひ読んで欲しいが(まず、「海炭市叙景」がいいだろう)映画もぜひぜひ。新宿のK's cinema(ケイズシネマ)で単館ロードショー。10下旬までの予定。
◯僕が特に好きなのは、この3冊。
海炭市叙景 (小学館文庫) 佐藤 泰志 |
そこのみにて光輝く (河出文庫) 佐藤 泰志 |
きみの鳥はうたえる (河出文庫) 佐藤 泰志 |
◯映画のホームページはこちら。
◯佐藤泰志の小説の書評はこちらから。
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