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【絵本/感想】谷川俊太郎・江頭路子「せんそうしない」-まさに言葉の力を感じさせる静かで力強い反戦の絵本

 戦後70年のこのモヤモヤ。この時期にこんなタイトルの絵本を出したのには、当然、意図するところがあるわけだ。それにしてもこれスゴいよなぁ。

 

 「ちょうちょと ちょうちょは せんそうしない」

 

 という見開きページで始まるこの絵本。たくさんのちょうちょの絵と共に表紙にも登場する小さな男の子と女の子が描かれている。やさしくやわらかな江頭路子の絵がいい。ちょうちょの後は

 

 「きんぎょと きんぎょも せんそうしない」

 「くじらと くじらは せんそうしない」

 

 と続く。男の子たちはどうやらどこかに遊びにでかけるらしい。そうか、海へ。友だちも合流して笑顔がパッと広がる2人!そして、谷川俊太郎の言葉は真摯に戦争、そして、死を語っていく。しかし、すごいのは…最後の2つの見開きだ。震撼した。ううむ、こういうところに持ってくるんだ…。強い余韻と広がりを残すこのラスト!まさに言葉の力を感じさせる静かで力強い絵本だ。

 

◯谷川俊太郎のその他の絵本のレビューこちらから。

 

 

 

2015.8.12 連続猛暑日は途切れたものの、個人的に苦手なヘンに蒸し暑い日々が続いている。やれやれ。読書は朝井リョウ「武道館」がもう少しで終わる。

 

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