もう終わってしまったがこのブログでも紹介した「かないくん展」を見に行った時、最初に掲げられていた谷川俊太郎さんの詩が強く印象に残った。この展覧会は「死」をテーマにしたものだった。
死と炎
かわりにしんでくれるひとがいないので
わたしはじぶんでしなねばならない
だれのほねでもない
わたしはわたしのほねになる
かなしみ
かわのながれ
ひとびとのおしゃべり
あさつゆにぬれたくものす
そのどれひとつとして
わたしはたずさえてゆくことができない
せめてすきなうただけは
きこえていてはくれぬだろうか
わたしのほねのみみに
気になって原典を調べたらこの本に収録されたものだった。「クレーの絵本」には、40点のクレーの絵とそれに誘発された形で作られた谷川俊太郎の詩が収められている。僕は昔はモネだとかある意味わかりやすい印象派の画家たちの絵が好きだったが(今でも好きではある)、マティスだとかクレーだとかの絵にしだいしだいに興味が移ってきた。
あとがきの中で谷川さんは言う。「クレーの絵は抽象ではない。抽象画には精神は住めても魂は住めない。言葉でなぞることは出来ないのに、クレーの絵は私たちから具体的な言葉を引き出す力をもっている」と。あぁ、そうだよなぁと改めてクレーの絵を見て思った。そして、そこから生まれた谷川さんの詩も、深く、しかも輝いている、と。
◯谷川俊太郎×松本大洋「かないくん」の書評はこちら
◯「かないくん展」の紹介はこちら。
2014.6.29 さてさてワールドカップも決勝トーナメントへ。日本のことはとりあえず忘れて楽しみたい。読書は「百舌の叫ぶ夜」が読了間近。
【書評ランキングに参加中】
ランキングに参加中。押していただけるとうれしいです。