さてさて、様々な話題を呼んでいる河出書房の池澤夏樹個人編集の「日本文学全集」ですが、個人的に一番気になっているのがこれ!角田光代訳の「源氏物語」です。上巻は今年の9月、中巻は来年の3月、そして、下巻が来年12月発売予定になっています。
河出書房新社「文藝」のTwitterから角田さんの言葉を引用してみますね。
「ダイジェスト版でとびとびに楽しむだけでは物足りない、長い物語の中で運命がねじれていく面白さ、わかりやすいプレーンな文章で書く」
「翻訳を実際に取り組み始めて源氏物語がいかに緻密な構成を持ち、伏線が張られていてそれがみごとに回収されることに感動した。こういう小説の作り方は私たちもやっている。いわゆる構成の妙。1000年も前にひとりの人間がやっていたことに改めて驚く」
「1000年も前の人々と、感情が共通していたことに驚く。書かれている「女」たちは名前がない=顔がない。それが「感情」によって書き分けられ、それが顔になり、名前を与えている。性格の書き分けやキャラ作りとは違う。小説の中からはみ出してくる感情が紫の上や末摘花になる」
「主語がない日本語のおもしろさ。言葉を超えたところで「風情」が出てくるが、それは言葉に、よってのみもたらされる。対話の中できっと見ている光景は共通しているのにそれは言葉にはできない。このおもしろさ!」
ううううむ、「角田源氏」!これまでも与謝野晶子、谷崎潤一郎、田辺聖子、瀬戸内寂聴、そして変奏ではあるけれど橋本治などが現代語訳を出しているけれど、角田光代の源氏、どういう感じになるのかファンとしてはとてもとても楽しみです。とはいっても、僕自身、「源氏物語」はいいかげんにしか読んだことがないのですけど。
【書評ランキングに参加中】
ランキングに参加中。押していただけるとうれしいです。