憶測という言葉はおもしろいことはおもしろいのだけれど、どちらかというとこれは「日々妄想」とか「日々発想」の方が的を射てるような気がする。僕たち人間は日々いろんなことが気になって、そこからくだらない空想をする。でも、それはいつの間にかどっかに行っちゃって戻っては来ない。しかし、ヨシタケさんはその「気になること」を逃さない。だってそれが仕事につながるから!そんな「気になること」→「そこからの妄想や憶測」をまとめたのがこの1冊だ。
で、さすがヨシタケシンスケ !目の付けどころがヨシタケシンスケ !少しだけ例を出してみます。たとえばこれ!すごい渋滞につかまったヨシタケさん。隣の車の人もゲンナリ。そこで「渋滞につかまった人々の写真集があったら絶対買いたい」と。こういうちょっとした気づきから始まる話を1ページずつ、あの絶妙なイラスト入りでまとめています。おもしろい!
さらにもう一つ!観光地で何か買ったり乗ったりする理由づけとして「記念として」というのがある。じゃあどんな行為も「記念として」で考えると新鮮じゃないか。ヨシタケさんが描いたのはスーパーのおばさんが「あなたが今日生きてる記念としておひとついかがですか?」と試食を進めている絵。なるほど!
日常生活であまり考えもせずボケ〜っと生きている私。もう少し妄想したり憶測したりしなけりゃな、と思った1冊。いやいや、おもしろい!ぜひ!
◆DATA ヨシタケシンスケ 「日々憶測」(光村図書)
◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)
【書評ランキングに参加中】押していただけるとうれしいです。