PHP研究所から出ているこの四角い形のヨシタケシンスケ絵本はどれもおもしろい。「なつみはなんにでもなれる」「わたしのわごむはわたさない」「おしっこちょっぴりもれたろう」、そして今回の「あきらがあけてあげるから」。「おしっこ〜」をのぞいて「ななな」「わわわ」「あああ」と韻を踏んでるのは編集者の遊び心か。楽しい!
ヨシタケさんは自分のことを「すきま産業」と呼んでいて「絵本界でいろんなすきまを探しながらやらせていただいてます」(「MOE」2020年9月号)と語っているが、これもまさにすきま中のすきま、ちょっとすきま過ぎて「ううむ」と思ったりもするのだけど、やっぱりヨシタケワールドはおもしろい。こんなフレーズで始まる最初の見開き、
「くやしい。ボクはくやしい。」「ボクはチョコが食べたいんだけど、このふくろ、あけにくいんだよ。」
いろんなものをあけたいけれど、思うようにあけられないあきら、大きくなったら何でもあけられるようになりたいあきら、いやいやいや、その気持ちはよく分かる。途中、「カパッ」「ピリッ」「キャパッ」「バリッ」「ペクッ」などなどなど、いろんなものがあいていく描写が楽しい。さらに妄想?はエスカレートして「なんでもあけるやさん」として大活躍のあきら。ラストのおとうさんとの会話も見事に決まって、これもいろいろ楽しめるヨシタケ絵本の傑作!
◆DATA ヨシタケシンスケ 「あきらがあけてあげるから」(PHP研究所)1000円(税別)