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【書評】吉田修一「罪名、一万年愛す」-終盤にこんな展開が待っているとは!4分の3までをすべてプロローグにしてしまうようなラスト4分の1がすごすぎる


 これはなんだか不思議な小説だった。全体の4分の3ぐらいからこの物語の主要な登場人物で途中で姿をくらましていた人間が再登場する。そこから「ことの真相」が明らかになっていくのだが、それまでの展開は終盤にこんな結末が待っているとはちょっと予想できないものなのだ。新聞小説という媒体の影響もあるのだろうか、やややややっと仰天してしまう。

 発端、横浜で探偵をやっている遠苅田蘭平のもとに、ある宝石を探して欲しいという依頼が舞い込む。依頼主は有名な一族の三代目。遠苅田は一族の創業者の米寿の祝いに長崎の九十九島にある島を訪れ、宝石探しを始めようとするのだが。そこで…。

 失踪時にシアタールームに残された3本の映画、古いフィルムから流される戦災孤児の映像、2通の戸籍謄本、45年前に起こったある女性に関する事件、そして奇跡的な再会、ドドドっと記憶のダムから放流されるような過去の様々な出来事。そして、さらにさらに衝撃的な事実が。これがそのまま「罪名、一万年愛す」というタイトルへと繋がっていく。4分の3までをすべてプロローグにしてしまうようなラスト4分の1がすごすぎる。エピローグとして書かれた部分はいかにも新聞小説的で個人的には必要ないと思うのだが、どうだろう? ◆DATA  吉田修一「罪名、一万年愛す」(角川書店)

 

◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)