天野祐吉、島森路子編集長時代の「広告批評」は全部持ってる(たぶん)。「広告批評」は、広告もまた文化である、ということをずっと言い続けていた。そして、それは映画やアートや音楽や詩や小説と同じ地平にあるのだと。島森さんは、自ら書く文章も巧かったが、何といってもインタビュアーとしての能力が抜きん出ていた。相手の懐に飛び込んで、というタイプでもなく、どんな人とでも同等の意識で話すことができた。だからこそ、話はおもしろく、相手も思わずとんでもないことを話してしまう。「広告批評」でのインタビュー記事は楽しみで仕方がなかった。享年66歳。ここ数年はずっと闘病生活を続けていることを知っていた。いつかまた、あの素敵な笑顔に会えると思っていたのに…。
島森さんのインタビューアーとしての素晴らしさはこの2冊を読めばよくわかる。相手は、淀川長治、山田風太郎、吉田秀和、養老孟司、美輪明宏、谷川俊太郎、糸井重里、橋本治、タモリ、ビートたけし、所ジョージ、イッセー尾形、亀倉雄策、村上春樹、鶴見俊輔、池澤夏樹、是枝裕和、深澤直人、佐藤雅彦、浦沢直樹、とんねるず、爆笑問題、ラーメンズ、横尾忠則。
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