ここに載っているコピーは私の仕事の全部じゃなく一部であり、この本用のセレクトだから。なんとなくひとつの空気感で読めて、その中でメリハリもつけてと、自選しました。
さらにこの本はコピーのフレーズだけの構成で使われた広告は見せていない。彼女のコピーを佐々木俊さんがデザインしレイアウトを工夫して見せているだけだ。個人的にはコピーは広告の一部でコピーだけを取り出してそれだけを見せる、というのは正しい?やり方だとは思わない。コピー×デザイン×写真など総合体が広告でそこには掛け算があり、だからこそ効果がある。もちろん、児島さんはそんなことはちゃんと分かっている。「はじめに」にはこんな言葉。彼女のコピーは
いま、広告から離れて、商品から離れて、時代背景からも離れて、ここに仲良く並んでいます。コピーとして読む人もいるだろうし、ただのことばや文として読む人もいるでしょう。
広告から生まれたことばたちはいまここで、ノーフレームになり、あなたの前にいる。
ノーフレーム、っていいな。で、最初に戻って「この本用のセレクト」とはなんなのか?選ばれているのは彼女の代表作というか代名詞的なコピー「あした、なに着て 生きていく?」の会社 earth music&ecologyのコピーが中心。かなりの数のコピー、うれしいことにボディコピーも掲載されている。あとはパナソニックの女性用の商品、尼崎の結婚式場、資生堂などなどなど。全体を見渡すとこのセレクトは「この生きづらい世の中を懸命に生きている女性たちへの応援歌」的なことを感じる。途中で挿入されるコラムもおもしろいのだけど、その中で児島さんは「女の子向けより、人間向けのコピーだ」って書いていますが。うむ、確かに、男のおじさんっぽい僕にもいろいろ響くからなぁ。でも、女性の皆さんには特に読んで欲しいです。これ。
で、全体を通して思うのはどれも主張の強いコピーだということ。主張というのは会社とか商品の、でもあるし、児島さんの自己主張でもある。僕の長いコピーライター生活でもこういう主張の強いコピーは書いたことがない。書く機会がなかったとも言えるし、チャレンジしてこなかったとも言える。コンペならやれるべ、とも思うのだけど、ううむ、コンペでもやってないなぁ。で、児島さんもそこのところは気にしている。
こういうのが広告?こういうのがコピー?好きなこと書いてるだけじゃない?企業は、商品は、これでだいじょうぶ?
ま、僕はそうは思わないけれど思う人もいるでしょう。で、「感情という情報」という話になるのですが、これが、そうだよなぁ、まさにそうだよ、という内容。そのあたりはぜひ、本を読んでいただきたい。全女性と全人間と全あなたにオススメしたい広告コピーのような言葉たちの本。ぜひ!