また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【写真集/感想】太田康介「やさしいねこ」-町内最弱?家内最弱?いえいえ実は違うのです

 公園で見かけたブサイクな白い野良猫。作者の太田さんはしっぽの柄が特徴的なその猫に「ぽー」という名前を付けた。飼い主のいない猫を保護し、去勢手術を受けさせて元の場所に戻すTNR(Trap Neuter Return 地域猫化)と給餌活動を続けている太田さんの職業はプロのカメラマン。この本は、そのTNRの対象になった一匹の猫と太田夫婦の物語だ。

 

 で、このぽー、よくよく観察してみると、ケガもたくさんしているし、他の猫からもよくいじめられている。どうやら「町内最弱の猫」のようなのだ。それが分かると、ぽーのことが気になってしょうがない太田さん。写真と共にカレのちょっと情けない日々が綴られていく。真摯でてらいのない猫愛に溢れた文章がとてもいい。

 

 しだいに性格がわかってくると、どうやらこの猫、弱いというより争いごとが嫌いなだけらしい。そんな平和主義の猫にどんどんと惹かれていく太田夫妻。そして、胸にしこりがあるようだと病院に連れて行ったのを契機に、ぽーは太田家の猫になるのだ。

 

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【映像化】木皿泉のラジオドラマ脚本集「道草」シリーズがテレビドラマに!9日・16日NHKBSプレミアムで

 年末にうれしいニュース!「すいか」「野ブタ、をプロデュース」「Q10」などの脚本家・木皿泉の伝説のラジオドラマがなんとNHKBSプレミアムで映像化されます。このドラマ、TOKYO FM系で2001年から2005年にかけて放送されていて、シナリオはすでに文庫になっています。知ってましたか?ふふふ、知ってた。持ってる(でも、読んでない、やれやれ)。

 

 放送は「ショートショート木皿泉劇場"道草"」というタイトルで、12月9日と16日、午後11時から30分枠で放送されます。9日は「さよなら不思議ちゃん」と「バンパイアはつらいよ」、16日は「平田家の人々」。どちらも「人生の道草」をテーマに、1話5〜7分のショートショートを連続オムニバスでつないでいくスタイル。前口上があったり、加藤一二三が都内ロケを行うコーナー企画「みちくさひふみん」があったりと盛りだくさんでなんだかおもしろそう。

 

 出演者はマキタスポーツ、門脇麦、鹿賀丈史、荒川良々、杉本哲太、石田ひかり他。詳しくは下の番組ホームページ等を見てみてください。

 

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【コミック】日仏会館ギャラリーで「描くひと 谷口ジローの世界」開催!12月9日から

 

 前回の「出る本、出た本」で新作2冊が発売されることを紹介した谷口ジローさんですが、なんと日仏会館ギャラリーで展覧会が開催されることになりました。フランスにはファンも多く、ルーヴル美術館の企画などにも関わっていた谷口さん。その展覧会が日仏会館のギャラリーで開催されるのはなんだかとてもうれしいですね。ホームページでの紹介の文章もとてもいいので、ここに引用したいと思います。

 

「9番目の芸術」と呼ばれる漫画。日々新たな表現が生み出されるこの創造的世界の大きな部分を占める今日の日本漫画の中に、谷口ジロー(1947-2017)の作品はきわめてオーソドックスであると同時に特異な存在感を持って立ち現れる。そして、漫画のもう一つの大きなモメント=バンド・デシネへの強い親和力を持った谷口作品は、日本と同様あるいはそれ以上の読者をフランスおよびヨーロッパ各国で獲得している。本展は、今年2月に世を去った谷口ジローの主要作品の原画を展示して、谷口作品のオリジナルな魅力を探る試みとして企画された。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2017.12/2週)

 さて、出る本。綿矢りさ「意識のリボン」(12/5)出ます。いいタイトル!全8編の短編集ですが、内容もなかなかおもしろそう。これ読みたいな。

 

母親を亡くした二十代の「私」は、「絶対に長生きするからね」と父に誓ったのに、交通事故に遭ってしまう。激痛の嵐の中、目を開けると二メートルほど下に自分の身体を見下ろしていて……。 表題作ほか、姉妹、妻、母親――様々な女たちの視線から世界を切り取り人生を肯定するあたたかさを感じさせる。著者新境地の全八編の短編集。

 

 糸井重里「思えば、孤独は美しい。」(12/5)は、糸井さんの1年分の原稿やツイートの中から心に残る言葉を集めて編む1冊。もう何冊目でしょうか?今回はヒグチユウコさんの装画です。なんだかスゴい!アマゾンでも買えますが、ほぼ日ストアやほぼ日のスペース「TOBICHI」で買うとヒグチさんの絵をプリントしたポストカードがもらえます。いずれにしても、糸井さんの言葉はなかなかおもしろい。

 

○「ほぼ日」で買うならばこちら

 

 そして、なんとうれしい!谷口ジローさんのコミックが2冊出ます。「光年の森」(12/6)はフランスの出版社から依頼されたもので、オールカラー・全5話構成を予定していたそうです。谷口さんが亡くなったために単行本には1話と2話目のネーム。そして。関川夏央さん、久住昌之さん、夢枕獏さんのお別れメッセージが収められています。あぁ、この表紙いいなぁ。それにしても、谷口さんの「死」はなかなか受け入れられない。

 

 もう1冊の「いざなうもの」(12/8)には内田百閒の短編「冥途」が原作で絶筆となった「いざなうもの 花火」など単行本未収録作品や谷口さんのエッセイが収められています。う〜ん、どちらもぜひぜひ読みたい。

 

 さてもう一冊。宇多田ヒカル初めて歌詞集「宇多田ヒカルの言葉」(12/9)も出ます。全歌詞掲載はもちろんのこと、彼女といろいろな人から寄せられた言葉がとても気になる。この人々!!

 

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【絵本/感想】ヨシタケシンスケ「こねてのばして」-楽しいぞ!楽しいぞ!子供と一緒にワイワイ読みたい

 楽しいぞ!楽しいぞ!楽しいぞ!「ヨシタケ史上、いちばんシンプルで読みやすい」を合言葉に作ったというこの絵本。とにかく、こねて、のばすのよ!こねて、のばして、またこねるのよ!


 いかにもヨシタケ的な男の子がパンを作っていく様子をヨシタケさんはテンポよく、言葉と絵で綴っていく。とは言ってもこれ、ハウツウ本なんかじゃありません。なにせヨシタケシンスケなんだから!男の子、パン生地に顔は押しつけちゃうし、一緒に踊っちゃうし、体に生地を巻きつけちゃうし。そのうちコロコロ転がしちゃうし。まさに、なんでもあり!のヨシタケワールド。あぁ、楽しい。調子に乗ってチューもして、においをスースーかいじゃう。そして何ともうれしいラスト!


 これ子供と一緒にワイワイ読んだらサイコーだと思います。子供たちこういうの好きだよなぁ。はい、ではちょっとやってみますか。用意はいいですか?

 

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【BOOK NEWS】いいな、いいな!酒井駒子「森のノート」クリスマスプレゼントキャンペーン

 先月、このブログでも紹介した絵本作家・酒井駒子さんの「森のノート」、山の家と都会を行き来している彼女の周辺で起こる出来事を綴ったこのエッセイは、絵と文章、どちらも魅力に溢れていて最近の中ではとても印象に残っている一冊です。

 

 その「森のノート」のクリスマスプレゼントキャンペーンが昨日から始まりました。ハガキかツイッターで本書の感想か酒井さんの本との思い出を送ると直筆サイン入りのプレゼントバージョン「森のノート」やオリジナルステッカーが当たります。この本、装丁も美しいしプレゼントにはいいなぁ。僕も応募します。絵本好きの人いかがですか?

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2017.11/5-12/1週)

 まず出た雑誌。「別冊カドカワ」の「総力特集又吉直樹」出ました。又吉のロングインタビュー、女優・のんとのフォトエッセー、西野亮廣との対談など気になる記事が満載。これは読みたいぞ。

 

○詳しい内容はこちら


 出る本もまずは雑誌から。「MOE1月号」(12/1)の特集は「日本のすごい絵本作家100名」。ヨシタケシンスケの描き下ろし「絵本作家にナルニワ共和国」(笑)もあるし、ミロコマチコ、酒井駒子など好きな作家のインタビューも載っている。これは買っちゃいそうだなぁ。

 

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