2014年に刊行され、その年の「このミスがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリーが読みたい!」ですべて1位。山本周五郎賞も受賞した米澤穂信のミステリー短篇集。僕自身は「ミステリー読み」ではないので、興味を持って文庫本を買ったものの、積ん読タワーの中に紛れ込んでいた。
今回、よし読んでみよう!と思ったのは、すでに当ブログで書いたように秋にNHKでドラマ化されるから。収録作6篇のうち3篇が1時間ドラマとして3夜連続で放送される。
個人的に一番好きなのは、ドラマにもなる「夜警」だ。冒頭、23歳の川藤巡査の死が伝えられる。彼は暴漢を説得しようとして切りかかられ、人質を守るために発砲したが命を落としてしまった。物語の語り手は川藤が配属された交番の上司、柳岡巡査長だ。柳岡は交番に配属された川藤の言動を見て、彼の警官としての資質に疑問を抱く。「川藤、ちょっと、厳しいですね」という他の部下の評価もそれを後押しする。さらにエピソードが重なり彼に対して「胃のあたりに不快な塊を感じる」ようになるのだ。
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