また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【書評】米澤穂信「満願」-ミステリー3冠!NHKでドラマ化!技巧が凝らされた「夜警」に強く心惹かれる

 2014年に刊行され、その年の「このミスがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリーが読みたい!」ですべて1位。山本周五郎賞も受賞した米澤穂信のミステリー短篇集。僕自身は「ミステリー読み」ではないので、興味を持って文庫本を買ったものの、積ん読タワーの中に紛れ込んでいた。

 

 今回、よし読んでみよう!と思ったのは、すでに当ブログで書いたように秋にNHKでドラマ化されるから。収録作6篇のうち3篇が1時間ドラマとして3夜連続で放送される。


 個人的に一番好きなのは、ドラマにもなる「夜警」だ。冒頭、23歳の川藤巡査の死が伝えられる。彼は暴漢を説得しようとして切りかかられ、人質を守るために発砲したが命を落としてしまった。物語の語り手は川藤が配属された交番の上司、柳岡巡査長だ。柳岡は交番に配属された川藤の言動を見て、彼の警官としての資質に疑問を抱く。「川藤、ちょっと、厳しいですね」という他の部下の評価もそれを後押しする。さらにエピソードが重なり彼に対して「胃のあたりに不快な塊を感じる」ようになるのだ。

 

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【映像化】ドラマ「下町ロケット」続編決定!本日発売の「下町ロケット ゴースト」を原作に秋ドラマに登場

 先日、このブログでも新刊として紹介した池井戸潤の「下町ロケット」シリーズ3作目「下町ロケット ゴースト」のドラマ化が決まりました。10月スタートの秋ドラマでキャストは主演の阿部寛をはじめ前回同様、スタッフは演出・福澤克雄は同じですが、脚本が「小さな巨人」「ブラックペアン」の丑尾健太郎にかわります。日曜21時の日曜劇場枠での放送です。

 

 2015年の前回放送の大ヒットは記憶に新しいところ。最終回の平均視聴率は22.3%もいったそうです。1冊目の「下町ロケット」だけが原作かと思っていたら、6話から朝日新聞に連載されていた続編「下町ロケット ガウディ計画」の内容に移って驚いたのを覚えています。

 

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【文学賞】第159回芥川賞は高橋弘希さん「送り火」、直木賞は島本理生さん「ファーストラヴ」に!選考委員講評も

 さてさて、決まりましたね。僕も予想をしていたのですが、今回はどちらも外れました。芥川賞は過去3度候補になっていた高橋弘希さんの「送り火」に。パチパチパチ!デビュー作の「指の骨」で新潮文学賞、「日曜日の人々」で野間文芸新人賞を受賞されています。名前はもちろん知ってるけれど、僕は読んだことがないです。

 

 類似表現が話題になった北条裕子さん「美しい顔」は落選。というか、ネットで全文掲載されていますが、類似以前の問題で文章がヘタ。これで芥川賞はないだろう。下の講評で詳しい選考過程が分かるのでぜひ読んでみてください。

 

◯島田雅彦選考委員の芥川賞講評

 

 

 直木賞は島本理生さんの「ファーストラヴ」。こちらもパチパチパチ!「リトル・バイ・リトル」で野間文芸新人賞、芥川賞候補に4回なっています。純文学の人というイメージが強かったので少し驚きましたが、下の講評を読んで触手が動きました。候補作で唯一読んでいて、ずっと応援している窪美澄さんの候補作「じっと手を見る」は初回投票では一位だったそうです。かなりの接戦だったみたいで残念無念!

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2018.7/3週)

 出た本。直木賞を受賞した「下町ロケット」の第2弾、池井戸潤「下町ロケット ガウディ計画」が文庫になりました。2015年のTBSのドラマでは5話までが「ロケット編」で6話から「ガウディ編」になっていました。ロケットから人体へ、佃製作所が新たな戦いの場に挑む設定がおもしろかったです。ま、池井戸潤の小説はどれもおもしろいのですが。未読の人はぜひ!

 

 出る本。さらに「下町ロケット」!待望の最新刊「下町ロケット ゴースト」(7/20)、出ます。あの帝国重工の業績悪化に始まって、今回もいろいろとドラマがありそう。本も読みたいけど、これもテレビで見たいぞ。

 

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【映像化】「ざんねんないきもの事典」、NHKのEテレでアニメ化決定!8月に放送予定

 なんかお知らせしなければならない情報があったな、と思っていたのだけど、これだこれだこれだ。大ヒットで続編、続々編まで出ちゃった「ざんねんないきもの事典」、なんとNHKのEテレでアニメになります。放送予定は以下の通り。

 

8/6〜10日 AM9:50~9:55

8/13〜17日 AM9:30~9:35

 

 各5分×10回放送ということになりますね。このブログでは紹介していませんが、僕も続編までは読んでいます。「アライグマは食べ物をあらわない」とか、え〜っ!と思うような動物のざんねん豆知識をシンプルにまとめた本ですが、これ、タイトルの勝利だなぁ。こういう内容の本って今までもあったような気がするけれど、それを「ざんねんないきもの」という「括り」にしちゃった。タイトルを考えたのは編集者なのか、今泉さんなのか、いずれにしても見事!!

 

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【絵本/感想】ヨシタケシンスケ「おしっこちょっぴりもれたろう」-な、なんてこと聞くんだ、もれたろう!!!

 このテーマでヨシタケシンスケなのだから、おもしろくないわけがない。問題はどうおもしろいか、だ。フツーだったらこういう話だとお母さんとの攻防になるだろう。しかし、しかし、しかし、この本でお母さんは最初と最後にしか登場しない。あくまで脇役でしかない。

 

 じゃあ誰が出るんだ、というと街行く人々だ。「おしっこをするまえかしたあとに、いつもちょっぴりもれちゃう」主人公のもれたろうは、いつもお母さんに怒られてしまう。そこでハタと思いついたのだ。

 

ぼくみたいに じつはもれたろうで

こまっているひとは ほかにもいるんじゃ

ないかな?

 

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【広告コンペ】宣伝会議賞を受賞した三菱電機「霧ヶ峰Style」のコピーが新聞に掲載されました

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  ちょっとお知らせが遅くなりましたが、6月25日発売の「電化新聞」に上のようなカタチで協賛企業賞の受賞コピーが使われました。宣伝会議賞の結果報告を兼ねた広告で、一次通過作の中からセレクトされた他のコピーも下の部分に掲載されています(クリックすると拡大されます)。

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 宣伝会議賞の受賞コピーは、残念ながら実際の広告で使われることが少なく、昨年度の受賞作も僕の知っている限りでは、ネット中心で数作が使用された程度です。というわけで、こういう形で紹介していただいてとてもうれしく思っています。三菱電機の皆様、そして贈賞式でもお会いした担当者のK嬢に感謝します。

 

 掲載に関しては、こちらからアピールしたのではなく、贈賞式の翌日にK嬢にお礼のメールを出した時に、積極的に使っていくというお返事をいただいたので期待して待っていました。これからも9月まで「電波新聞」など業界紙に数回出稿の予定という連絡をもらっています。あと、広告の左隅に「店頭などでご自由にお使いください」という一文が入っているので、お店独自のPOPなどでコピーを使ってくれるとうれしいのですが。量販店等でもし見かけたら教えてくださいね。

 

  僕がここで言っても仕方がないことですが、他の企業も三菱電機のように受賞コピーをどんどん使ってくれるといいなぁ、と思います。担当の代理店や制作プロダクション等との関係など難しい面があることは承知していますが、コピーライターをめざしてる人や新人コピーライター、広告界以外の人にとって自分のコピーが活字になる、というのはすごく大きな喜びなのです。僕は40年ぐらいやってるのでそれほどでもないけれど、やっぱり自分の作ったものはしっかりチェックしています。

 

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