また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【BOOK NEWS】NHK・Eテレ「ネコメンタリー」新作2つ、ますむらひろしさんと竹内薫さん!

 不定期ですが、もの書くひとと猫との関係を描いて人気の「ネコメンタリー」。これまでも角田光代、吉田修一、村山由佳さんなどなどが登場しましたが、今回の出演は漫画家のますむらひろしさんとサイエンス作家の竹内薫さん。これはもう録画してしっかり見ます。飼い主と猫との関係もいろいろでなんだか楽しいんです。クールな感じの演出も個人的には好み。

 

 え〜っとますむらさんといえば「銀河鉄道の夜」など宮沢賢治作品を猫をキャラクターにして描いたり、猫と人間が住む森の暮らしを描いた「アタゴオル」など猫マンガでおなじみ。今も3匹の猫を飼っているそうです。さて、その暮らしは?明日8月22日午後10時50分〜11時15分、NHK・Eテレで放送です。タイトルは「ますむらひろしとモンとハテナとコマ」。

 

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【書評】梨木香歩「椿宿の辺りに」-痛みを発端に物語が始まる、痛みの向こう側に不思議な世界がある

 初めての梨木香歩がこの新作でいいのかと思いながら手に取ってしまった。以前から彼女は独特の世界を持っているような感じがしていて、手を出せないままでいたのだ。

 

 発端からおもしろい。右腕に激痛が走った主人公の男、急いでペインクリニックに駆け込むと、三十代ながら五十肩という診断を受けてしまう。さらに、連絡を取った従妹も股関節の痛みに苦しんでいる。痛みの連鎖!?
主人公の男の名前は山幸彦、従妹の名前は海幸比子だという。古事記の山幸彦・海幸彦の伝説とつながっているのか?そしてもう一人、実家の店子である鮫島氏の名前は宙幸彦だ。

 

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【絵本/感想】辻村深月/今日マチ子「すきっていわなきゃだめ?」-最後のページ、アッ!と思わず声が出た

 書評家の瀧井朝世さんが編集した「恋の絵本」シリーズの第二弾。桜庭一樹作の第一弾も早く読まなくちゃ!!

 

 最後のページを開いて思わず「アッ!」と声が出た。この絵本は、読む人を試している。いや、辻村さんにはそんな気はまったくないだろう。でも結果的に試されているのだ、自分という人間を。

 

すきな ひとに 「すき」って いうのが はやってる。

 

  という一文からこの絵本は始まる。今日マチ子さんの絵はキャラクターを含めてやさしくスマートなので以前から大好きだ。で、みっちゃんという女の子が主人公に問いかける。好きな人がいるなら「好き」って言わないのか?、と。わかんない、と答えると彼女は

 

じゃあ、それは すきじゃないんだよ

 

ほんとうの すきじゃないんだよ

 

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【賞いろいろ】2019年Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞のノミネート6作品発表!

 そうそう、ノンフィクション本のこんな賞もあるんですよね。昨年創設されたこの賞、タイトルから分かる通り「Yahoo!ニュース」と「本屋大賞」がタッグを組んでるのがおもしろい。

 

 今年は6月20日から7月17日まで一次投票が行われ、以下の通りノミネート6作品が決定しました。この後、書店員による投票によって11月に大賞が決まります。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2019.8/3週)

 

 今週は出た雑誌2冊。まずは「Casa BRUTUS」9月号、特集は「最新!動物園と水族館。」。2017年8月号も同じ特集でした。パンダの表紙!そういえばこのところ、動物園にも水族館にも行ってない。どちらも大好きな僕としてはなんだか情けない。よ〜し、これを読んでどっか行くぞ。

 

◯前のはこれ!

 

 もう1冊はカーサじゃない方の「BRUTUS」8/15号。特集は「ことば、の答え。」、ううむ、これも気になっている。目次、見てみましょう。

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【BOOK NEWS】又吉直樹の第3作、10月10日発売決定!タイトルは「人間」

 去年の9月から毎日新聞で連載されていた又吉直樹の長編小説がいよいよ10月10日に発売になります。タイトルは「人間」。漫画家をめざし挫折した青年の物語。又吉直樹の小説は「火花」も「劇場」もとても気に入っているので新作も楽しみです。どんな「人間」が描かれているのでしょうか?なお、上のビジュアルは表紙ではなく告知ポスターのようです。あらすじはこんな感じ。

 

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【書評】川上未映子「夏物語」-これは自らの「身体」と共に生きる女性たちの痛みと悲しみから生まれた物語だ

 

 物語は2部に分かれている。1部は2008年夏、2部は2016~19年夏の話だ。実は1部は川上さんの芥川賞受賞作「乳と卵」をリライトしたもの。未読なのでどう変わったのかは定かではないが、主人公夏子の貧乏話から始まって、姉巻子の豊胸手術の話、突然話さなくなった巻子の娘緑子の話などなどなど、大阪弁が飛び交うこの1部はすこぶるおもしろい。そこには作家になりたくて10年前に大阪から東京に出て来た30歳の夏子がいる。そして、この1部は確実に2部へと繋がっている。だからこそのリライトなのだろう。

 

 そして2部。8年が経ち、夏子は短編集を出し、それがヒットはしたものの次の作品がなかなか書けず、エッセイなどでなんとか食いつないでいる。そして、40近くになった彼女は、思っている。

「これでええんか 人生は」

 

「でもわたしはこのままいくんか ひとりでよ」

 

「わたしは会わんでええんか後悔せんのか

 誰ともちがうわたしの子どもに」

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