これはまさに魂の自由度を測るような小説である。「心中する前の日の心持ちでつき合って行かないか?」なんてバカ言って、慈雨と栄、42歳同士のカップルが誕生する。この恋が自由奔放というか、高校生みたな恋で、本当におかしい。人によっては「こんな42歳、ないでしょ?」とか「ほ~んとしょーもないやつら!」などと思うだろうが、人間、42歳でもこんなもの。いや、50歳でも60歳でもこんなものなのである。ただ、常識だとか社会だとか、なんだかんだの鎧を着てる人には、こういう「けーはくカップル」は理解し難い、というか、理解したくないのだ。となると、この小説も「くだらねぇ~~」、ってことになるのかも。
さて、山田詠美、である。何もかもわかってるこの作者は、わかってることをいいことにはねる、はねる、はねる!魂もとんじゃってるし、文章もとんじゃってる!調子に乗ってちょっと筆が滑ってるベタなところもあるけれど、それもご愛嬌!!
そして、ラスト。いろいろあってもやっぱりこの2人は、42歳のバカップル(古い!)。なんともググッと来る結末が待っている。舞台は西荻、そして、吉祥寺。恋は中央線でしろ!だって。魂がすっきりしゃっきりしてくるような快作。さて、あなたの魂の自由度は??
2010.8.27 僕はもう四半世紀ぐらいフリーのコピーライターなのだけど、フリーったってフリーじゃない。特に仕事が少ない時はすご~~くフリーじゃない、と感じたりするのだ。
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