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【書評】絲山秋子「イッツ・オンリー・トーク」-ここから絲山秋子が始まった!そんな思いを強くする傑作

 女性では宮部みゆき、川上弘美、佐藤多佳子などが好きな小説家だが、絲山秋子はなんだか特別な存在、という気がしている。その絲山さんのデビュー作がこの「イッツ・オンリー・トーク」。文學界新人賞を取り、「やわらかい生活」というタイトルで映画にもなった。この映画のシナリオを「年鑑代表シナリオ集」に載せるにあたって裁判があったがそれはまた別の話。

 

 さて、この小説、まず何と言っても小気味の良い文体がいい。初めはちょっと違和感があったのだけど、読み進めていくうちにそれが快感に変わっていった。短めの文章でつないでいくスタイルは、失敗すると小学生の作文のようになってしまう。ある意味、冒険的なスタイルだが、常に文体にこだわる作家、絲山秋子のデビュー作なのだから、これはもう冒険でもなんでもないのだろう。

 

 「直感で蒲田に住むことにした。」という文章で始まるこの小説、優子という躁鬱の気がある女性とダメ男たちの物語だ。彼女の相手は友人の都議会議員、鬱病のヤクザ、痴漢の男、自殺志願のいとこなどなど、誰もが何だか情けない。そういう男たちと間抜けなやり取りを繰り返す優子。でも何故かそこには真実がある。超然としていて不思議な個性を感じる優子のキャラもいい。「イッツ・オンリー・トーク、全てはムダ話」と言い放つ、ラストもかっこいい。そうこのタイトルはキング・クリムゾンのフレーズから来ているのだ。ここから絲山秋子が始まった、そういう思いを強くする傑作。もう一編収録されている「第七障害」もかなり読ませる。

 

2010.12.9 東京もかなり寒くなってきました。今日から暖房入れます。

ベストテンが載ってる「本の雑誌」を買いに行きたいのだけど、家から

出るのが面倒くさい。

 

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