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【書評】村田紗耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」-リアルに浮かび上がってくる一人の女の子の姿

しろいろの街の、その骨の体温の しろいろの街の、その骨の体温の
村田沙耶香

朝日新聞出版 2012-09-20
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 本年度の三島由紀夫賞受賞作品。2部構成だ。1部は主人公の結佳が4年生の頃の話。2部で彼女は中学2年生になっている。結佳が住むのはいわゆるニュータウン。1部では白くてヘンに整然としたその街はさらに工事が進み増殖中だ。時代的には80年代ぐらいだろうか。2部ではこの街、すでに工事は中断し「新品の廃墟」のようになってしまっている。

 

 小学校で仲良しだった、結佳と若葉と信子はスクール内カーストのただ中にいる。若葉は一番上のグループだが以前のような輝きはすっかり失せ、結佳は下から二番目の「大人しい女子」のグループ。信子は行き場のない子たちが寄り添っているような一番下のグループだ。小学校の頃、同じ習字教室に通う伊吹という子供っぽい男の子に何度もキスを迫ったりして「おもちゃ」にしていた結佳。その伊吹はカーストなんてあることも知らない人気の男子になり、自然に一番上のグループに入っていた。それでも結佳は伊吹と2人の時だけ、昔からの支配関係を続けているのだ。

 

 ニュータウンという背景、その中で当たり前のように存在するスクール内カースト、クールで観察眼がするどい結佳、そんな彼女の奥深くでうずくような欲望や性!それぞれが重層的に重なりあい、そこにリアルな1人の女の子の姿が浮かび上がってくる。そのリアルさ!村田紗耶香は風景と会話とハートをこまやかに描写して見事だ。

 

 クラスメートとの関係、街との関係、伊吹との関係がしだいに変化していき、結佳の中で沸点に達した時に彼女は自らの身体、肉体を触ること、さらには他人に言葉をぶつけ世界に少しずつ触れることで変化していこうとする。そんなラストが力強くて素晴らしい。

 

◎「しろいろの街の、その骨の体温の」は2017年7月、朝日文庫で文庫化されました。

しろいろの街の、その骨の体温の (朝日文庫)
村田沙耶香
4022647841

             

 

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2013.6.16 さてさて明日のサッカー豪州戦、すっきり決めて欲しいものです。読書はまだまだ「土屋耕一のことばの遊び場」。

 

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