「絶対安全剃刀」「るきさん」「黄色い本」など、高野文子は寡作の漫画家だが、そのすべてが傑作で僕も大好きだ。そしてこれは福音館の「幼児絵本シリーズ」の一冊として発売された彼女の絵本。いやいやいや、まいったなぁ。絵本でも高野文子は高野文子だなぁ。よくもまぁ、こういう表現が!
冒頭で主人公の男の子はしきぶとんさんたちに語りかける。「あさまでよろしくお願いします あれこれ いろいろ たのみます」。そして個別?のお願いが始まる。しきぶとんさんへは「どうぞ わたしの おしっこが よなかに でたがりませんように」。ふふふ。すると「まかせろ まかせろ おれに まかせろ」と心強い答えが返ってくる。男の子は、さらに、かけぶとんさんやまくらさんにも違うお願いをするのだ。
大体、ふとんを3つに分けちゃうという発想からして驚き。これ、思いつきそうでつかない。そして、男の子のキャラクター、というか造形!ふとんもまくらもなんだかすごいことになっている。シンプルだけとチープじゃない色と形のアンサンブル!その見せ方もまた高野文子らしい。リズミカルな文章もいい。大人が見てももちろんおもしろいけれど、子供たちも大好きになることうけ合い。いろいろ楽しめるから、おやすみ絵本には持ってこいだと思うぞ。
◯高野文子のコミックのレビューはこちら
2014.4.7 桜もだいぶ散ってきましたね。今年はいろいろあり過ぎてゆっくり楽しめなかった。読書はサリンジャー「フラニーとズーイ」。春樹訳。
【書評ランキングに参加中】
ランキングに参加中。押していただけるとうれしいです。