毎年、「ひとりの選考委員」によって選ばれるドゥマゴ文学賞。今年は詩人の伊藤比呂美が選考委員だったので、ま、普通の小説は選ばれないだろうと思っていましたが、彼女が選んだのは山浦玄嗣(やまうらはるつぐ)「ナツェラットの男」。釜石の一部の地域で生き続けているケセン語を研究してる人らしい。町医者だって。ううむ。
伊藤さんの選評、「完成されているかというとそうでもない。語りの力で読ませるかというともう一息である。むしろなんだかとても野暮ったい。ださいとすら思う。でも魅力がある。無造作で、無鉄砲で、無頓着で、無邪気で、無垢で、無限で。わたしはやみくもに感動して、人に勧めた。勧めまくった。すごいですよ、こんなにださい小説はめったにありませんよ、と」。これだけで読みたくなるなぁ。
普通の文学賞ならまず選ばれることがないこの一冊。ドゥマゴの価値はまさにここにある。
◯ドゥマゴ文学賞の発表ページはこちらです。
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