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【書評】ピエール・ルメートル「その女アレックス」-その正体に驚き、その真実に驚き、さらに「その先」に驚き!

 ううむ、これはどこまで書いたものやら。2014年の国内のミステリー賞を総なめし、6冠に輝いたこの小説。すでに書評だって数限りなく出ているだろう。とはいっても、これ、あまり書けないなぁ。

 

 「その女アレックス」は3部に分かれている。冒頭、アレックスは見知らぬ男に誘拐され、身体の自由もほとんど利かない檻に閉じ込められてしまう。この誘拐事件を担当するのがパリ警視庁の警部であるカミーユ。145cmという短躯のキャラがユニークだが、彼は4年前にお腹に子を宿した妻を誘拐され殺されるという悪夢を経験している。この事件はカミーユにとっての復帰戦なのだ。なかなか手がかりのない犯人像、しだいに衰弱していくアレックス。そうか、そういう話か、と思うのだがこの思い込みは2部になって激しく裏切られることになる。

 

 2部で明らかになるのはアレックスの「正体」だ。これには本当に驚かされる。そして、3部。これはアレックスの「真実」ということになるのだが、さらにさらに驚かされることになる。しかし、この小説が多くの賞を獲得したのは「その先」があるからなのだ。アレックスのまさに命をかけた魂の一撃。それに対するカミーユたち警察側の…。いやいやいや、これ以上は…。

 

 全編を覆うのはアレックスという女性の激しい慟哭である。この悲しみ!この怒り!この絶望!しかし、この慟哭で覆い尽くされそうな物語を作者は最終盤で少しだけだかやわらかくする。それはまさに読者にとっての救いでもある。う〜む、巧いなぁ。巧すぎるぞ、ルメートル!

 

2016.4.1 というわけで世間は新学期、新年度ということなのでしょうがフリーランスライフはあまり代わり映えもせず。読書は、ルメートルの「悲しみのイレーヌ」。

 

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