「りんごかもしれない」「ぼくのニセモノをつくるには」に続くヨシタケシンスケの発想えほんシリーズ第3弾。今回は「死」がテーマ。死んじゃったおじいちゃんの部屋から「このあとどうしちゃおう」と書かれたノートが見つかり、孫である「ぼく」が読み始めるという設定だ。
最初の[このあとのよてい]では死んじゃったら「ゆうれいセンター」に行って、気が済んだら「てんごく」へ、飽きてきたら「うまれかわりセンター」で別のものに生まれ変わってこの世に戻ってくるという輪廻の様子が描かれている。その後も[てんごくにいくときのかっこう]や[うまれかわったらなりたいもの][こんなかみさまにいてほしい]等々が続く。例のフニャラフニャラしたヨシタケさんの絵と全体をおおうユーモア、そして構成の巧さがテーマの重さを救っている。[みんなをみまもっていくほうほう]で「かさぶたになって」とか「かぜでクルクルまわるビニールブクロになって」なんて描いてあるのがヨシタケさんの真骨頂だ。
死をテーマに子供が(そして、大人も)読む絵本を作るのはとても難しい。後半、おじいちゃんのノートを読み進めた「ぼく」はふと思う。おじいちゃん、本当は「さみしくて すごく しぬのが こわかったのかもしれない」と。そして、その後で「ぼく」は…。この最後の展開がヨシタケさんらしくて本当に素晴らしい。死を通して生きていることの尊さをしっかりと伝える、このメッセージは子供たちにも確実に届くはずだ。やるなぁ、ヨシタケシンスケ!今回も◎!!!
◯ヨシタケシンスケのその他の本のレビュー等はこちら
2016.5.27 なぁ〜んと早くも夏バテで体調を崩す。胃の調子が悪く病院に。読書は原田マハ「暗幕のゲルニカ」がもう少し。
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