池澤夏樹個人編集の「日本文学全集」から角田光代訳の「源氏物語」が出ることは前にもブログに書きましたが、特設サイトがオープンしました。上巻が9月12日発売ですからもう少しですね。これは僕も読もうと思っています。
サイトに角田源氏の特長について書いてあるので、まずそれを引用してみましょう。
①原文に忠実に沿いながらも現代的で歯切れがよく、心の襞に入り込む自然な訳文
②地の文の敬語をほぼ廃したことで細部まで分かりやすい
③生き生きとした会話文
④草子地(そうしじ)の文と呼ばれる第三者の声を魅力的に訳して挿入
⑤和歌や漢詩などの引用は全文を補って紹介
うむ、そういうことですね。さらに「新訳について」という角田さんの文章から僕が気になった部分をピックアップしてみました。
じゃあ、私に求められているものは何か。一つにはやっぱり「読みやすさ」。私の小説は、「非常に読みやすい」と言われることがあるんです。共感とかそういうことではなく、難しい言葉をあまり使っていないので、すらすらと読める。では、読みやすさというのをまず第一に考えよう、と。
私の小説というのを考えてみたときに――自分ではそうは思わないんですが、本を読んだ人から「『感情』というものが非常によくわかる」とか、「言葉にされて初めて、自分のなかにそういう感情があったと知った」という声を聞くことが多いので、その感情面において、今とはまるっきり男女の関係が違う昔のお話ではなく、せめて感情の一端でも、当時の人の感情がそのまま今の私たちにも、「その感情は知っている」という風に、感情のリンクをできないかということを考えて、訳し始めました。
まさにこの小説は、書き手の容量を完全にオーバーしている小説だと思ったんです。書き手は百パーセントの力で書いたのかもしれない。それが作者の手を離れた瞬間に、ものすごい爆発的な力をもってしまった。それは作者の意図ではない。小説自体がものすごい立ち上がり方をしてしまったものの究極がこの小説なんじゃないかということを共感と驚きをもって思いました。
ううむ、「書き手の容量を完全にオーバーしている」ってなんだかスゴいな。あと、本の写真に帯が付きましたね。この写真はアラーキーなんですよ、これいいなぁ。とにもかくにも発売が楽しみです。中巻は2018年3月、下巻は2018年12月発売予定。
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