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【エッセイ/書評】片岡義男「珈琲が呼ぶ」-書き下ろし全45篇!これはもう珈琲なんか超えちゃっておもしろい

 

 帯がズルい。「なぜ今まで片岡義男の珈琲エッセイ本がなかったのか?」って書いてある。え〜〜っ、そんなことないよなぁ、何かなかったっけ?小説には珈琲たくさん出てくるけれどエッセイはないか?でも片岡さんの小説ってエッセイっぽかったりもするから…とかとか思っているうちに本屋のレジに並んでる。ズルい!

 

 で、読んでみると、これはもう珈琲なんか超えちゃっておもしろい。ある意味、珈琲なんかどうだっていいぐらいおもしろい。45篇の書き下ろし!!!!確かに珈琲が起点になってたり、背景だったりしてるわけだけど、エッセイとしてのおもしろさがバツグンなのだ。

 

 2篇目の「コーヒーでいいや」という言い方の話がすこぶるおもしろいし、京都にある「静香」という喫茶店の椅子へのこだわりには驚かされるし、ビートルズの4人のポートレートとそこに記されたサインの物語はドキドキするし、美空ひばりとの不思議な邂逅はいつまでも心に残る。レコードと歌とコーヒーの関係、映画の中のコーヒーの話は、遥か昔、若き日々を思い起こさせてくれる。お茶の水の聖橋から見る電車の揃い踏み写真におおっと声をあげ、名曲喫茶の話にウンウンと頷く。ところどころに入ってる写真がまたいい。

 

  それにしても驚くのは、片岡義男の描写力のスゴさだ。前述した「静香」の使い古された、味のある椅子について彼は20行も30行もかけて描写する。僕も文章を書く仕事をしてるけど、そんなの5行で終わっちゃうよ。うん。ノンフィクションなのかフィクションなのか、虚実ない交ぜになった表現もすごく魅力的。やっぱり片岡義男はいいなぁ。

 

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◯この本の編集者、光文社の篠原恒木さんの制作舞台裏もぜひ!


 

2018.4.24 天気悪いなぁ。読書は「人生を変える住まいと健康のリノベーション」、なんてものを読んでいる。

 

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