決まりました、マイベスト!去年は10人中9人が女性作家でびっくりしたけど、今年も男性は2人だけ。まぁ、女性の方がおもしろいんだよね、ここ数年は。自分の読書傾向が偏向してるだけかもしれないけど。とにもかくにもベスト10、こんな感じです!(タイトル下のリンクで僕の書評にいけます)
1川上未映子「黄色い家」
2位と少しだけ迷ったけれど、今年はこれ!川上未映子「黄色い家」!パチパチパチ!!「王様のブランチ」のBOOK大賞2023も受賞しています。今までの川上さんの小説とはちょっと違うクライムノベル。「家」を守るためにヤクザのシノギのようなものに手を染める主人公・花と周りの人々のことは読んでだいぶ経った今でも忘れることができません。ダークでパワフルでとにかくすごい物語。川上さん、これからどんな話を紡いで行くのだろう。すごく楽しみ!2位以下は次の通り。
2金原ひとみ「腹を空かせた勇者ども」
3ミロコマチコ「みえないりゅう」
4片岡義男「僕は珈琲」
5絲山秋子「神と黒蟹県」
(書評まだ)
6西加奈子「くもをさがす 」
7高瀬隼子「いい子のあくび」
8村上春樹「街とその不確かな壁」
9宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」
10市川沙央「ハンチバック」
2位は金原ひとみ「腹を空かせた勇者ども」。主人公の中学生・レナレナとその母親の物語。この母娘関係がなんだかすごいのよ。レナレナの周りにいる人間もすごくおもしろい。いろいろな思いがリアルに詰まっていてこれもまた忘れられない1冊。3位はミロコマチコの絵本「みえないりゅう」。これはもうスッゲェ~って言うしかない。絵本はとにかく見て感じてもらうしかないのだ。さらに進化したミロコマチコをぜひぜひ!今年は絵本は1冊だけ。珍しくヨシタケシンスケが外れた。
絵本の代わり、と言うわけではないけどエッセーが2冊。4位は片岡義男の「僕は珈琲」、彼のコーヒーエッセイは「珈琲が呼ぶ」についで2冊目なんだけど、52もの話、よく書けるなぁ。しかもどれもがおもしろい。6位の西加奈子「くもをさがす」は乳がんになった作者のエッセイ。読んでいろいろと感じることが多い。病気のこともそうだけどバンクーバーのこと、東京のこと。周りの人のこと。いろいろ。
5位の絲山秋子「神と黒蟹県」はまだ書評あげてないのだけど架空の黒蟹県を舞台にしたすこぶるおもしろい話。絲山秋子の小説には強い信頼感があるが、神様が今まで以上にグイグイ出てきて驚いた。
7位、9位、10位は初めて読んだ人々。高瀬隼子の芥川賞受賞後初の小説集「いい子のあくび」が7位。高瀬さん、おもしろいんだよなぁ。人の心に潜んでいる本音のような意識をすくい上げて物語の核にしている。その切り口が見事。いろいろ話題になったのが9位の宮島未奈「成瀬は天下を取りにいく」。実在した西武大津店というデパートがこの物語の中心にある。かなりユニークな主人公・成瀬あかりがかっこいい。続編も気になる。市川沙央の芥川賞受賞作「ハンチバック」。主人公は作者と同じ難病患者。健常者へ次々放たれる言葉の矢が強烈だが、どこかでこの人の柔らかさも感じたりした。
最後になったが8位の村上春樹「街とその不確かな壁」。今でもまだあの壁に包まれた街のことを思い出すし、その外の世界のことも思い出す。こういう話は村上春樹しか創り出せないものでそこで得るものはとても大きい。
最後に「今年読んだけど、今年刊行ではない本のトップ5」も紹介しておきます。1位だけちょっと触れると、鈴木忠平「嫌われた監督」は中日の監督だった頃の落合博満の話。むちゃくちゃおもしろいし、筆者と落合の「関係」がいい。未読の野球ファンはぜひ!
1鈴木忠平「嫌われた監督」
2山本文緒「無人島のふたり」
3角田光代「今日も一日きみを見てた」
4安堂ホセ「ジャクソンひとり」
5坂本龍一「音楽は自由にする」
というわけで、今年はどんな本に出会えるのか、楽しみ、楽しみ!
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