光文社から出ている片岡義男×編集者・篠原恒木エッセイ本の3冊目。「コーヒーにドーナツ盤、黒いニットのタイ。」「珈琲が呼ぶ」、どちらもおもしろい。で、「彼らを書く」。「彼ら」とはザ・ビートルズ、ボブ・ディラン、エルヴィス・プレスリー!「書く」とは彼らに関係したDVDについて書く、ということ。「あとがき」によると、最初は映画の本を作る話だったのが、音楽映画だけになり、最終的に「彼ら」でまとめる、ということになったらしい。
で、「彼ら」のDVDである。僕はザ・ビートルズなら「HELP!」や「LET IT BE」は入るよな、と思い、ディランは音楽はけっこう好きだけど映像はあまり分からず、プレスリーといえば「エルビス・オン・ステージ」だよね、という感じの何ともいーかげんな、ファンともいえない存在なのだけど、今挙げた映画などかけらもない。「彼ら」が役者として出演した映画だったり、「彼ら」をモデルにした映画だったり、なかなかディープなセレクトだ。しかも、片岡さんがあの片岡さんの文体で書く。「彼ら」のことを真っ向から書くのではなく、演出のこと、構成のこと、その他諸々細部のことにまで言及しているので、もしかしたら「彼ら」のディープなファンでも「???」となっちゃうかもしれない。
じゃあつまんないのか、って言われたらまったくそんなことはない。片岡トークを聞いている楽しさというのがすごくあるし、「そこ突っ込むんだ!」とか「いやいやいや、そうなのか」みたいな楽しさと驚きに溢れている。写真が多数入っているけど、どれもいい。やっぱりディープなファンは喜ぶかな?一番喜ぶのは片岡さんのディープなファンだろうけど。
DATA◆片岡義男「彼らを書く」(光文社)2000円(税別)
◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピーです)
「彼ら」を語る、
「彼」の音楽で語る。
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2020.6.15 昨日の東京のコロナ感染者は47人。小池さんはいろいろ言ってるけど…。読書は宇佐美まこと「展望塔のラプンツェル」。
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