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【写真集/感想】竹田津実「生態写真集 キタリス 」-リスたちの恋、巣作り、エサ集め、子育て等を多数の写真で紹介!

竹田津実「生態写真集 キタリス 」

 

 リスはかわいい。吉祥寺の井の頭自然文化園にもリスがいて触ることもできるのだけど、本当にかわいい。で、この写真集、注目は「生態写真集」と銘打っているところだ。表紙を見るだけで分かるでしょうが、この写真集のリスももちろんかわいい。飛んだり、跳ねたり、走ったり、木に登ったり。ならばなぜ「生態写真集」?

 

 竹田津実さんは、元々は獣医師。北海道でずっと働き、その傍、テレビの動物番組の監督をしたり、写真家、エッセイストとして活躍してきた。著書である「子ぎつねヘレンがのこしたもの」は「子ぎつねヘレン」として映画にもなっている。

 

  82歳の老カメラマンは写真の記録性にこだわっている。生態写真をもう死語に近いと言われたことへの反発もある。ここではリスたちの発情期の様子、他の動物たちとの丁々発止、巣作り、冬前のエサの確保、子育ての様子などなどが多くの写真を通して紹介されている。見ていてまったく飽きないし、それぞれの写真は美しい。竹田津さんのすっとぼけたようなキャプションも素敵だ。彼は長年、リスをはじめとする傷ついた野生動物を保護し、治療し、リハビリをし、ということをやって来た。そこで生まれた元患者たちとの交流がこの写真集の大元になっている。

 

 「だから私に披露した彼らの生き様は、ひょっとすると本物ではないかもしれない」と老カメラマンは言う。本当は「私の生態写真集」なのだ、とも。ふむふむ。とはいっても、結局はリスはかわいい、この写真集はかわいい、という結論になってしまう。いいのか?たぶん、いい。

DATA◆竹田津実「生態写真集 キタリス 」(新潮社)3300円(税別)

 

◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピーです)

 

かわいいこと、それが

リスの一番の生態なのです。

 

 2019.11.21  関東地方、急に寒くなってきた。暑いのもイヤだけど寒いのもイヤ。そろそろ暖房も必要かな?読書は村田沙耶香「生命式」。

 

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