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【絵本/感想】湯本香樹実・文 酒井駒子・絵「くまとやまねこ」-仲良しの小鳥が死んでしまった。くまの悲しみが癒える日はやって来るの?

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 ある朝、くまは ないていました。
なかよしのことりが、しんでしまったのです。

 

 という一文から始まるこの絵本。雑誌「MOE」の「思わず泣いた感動絵本」特集に載っていて、気になり手に取った一冊だ。

 

 ことりをそっと箱の中に入れたくま、ことりのことを思い出し大粒の涙を流すくま。周囲のみんなに「つらいだろうけど、わすれなくちゃ」と言われて家に閉じこもってしまったくま。大事なものを失くしてしまった時の喪失感、それを他人が理解するのは難しい。共感は寄せられるけど代わってあげることなどできない。

 

 ある日、久しぶりに窓を開けると、とても素敵なお天気。ついつい外に出たくまは見慣れないやまねこと出会う。やまねこはバイオリン弾きのようだ。くまはそのバイオリンを聞いて、ことりとの日々を次々と思い出す。楽しかったあの日々のことを。そして、くまはことりの亡骸を…。

 

  これは喪失感に苦しむ多くの人々への強いメッセージが込められた物語だ。大切な人が目の前からいなくなったとしても、その人との思い出は生きている。その人は心の中でちゃんと生き続けている。実はやまねこにも同じような悲しみがあった。同じ思いを持つやまねこだからこそくまのことが理解でき、素敵な音楽をプレゼントすることができたのだ。湯本香樹実はシンプルな言葉で大切なことを僕らに語りかける。

 

 表紙でも分かるように酒井駒子のモノクロームの絵が素晴らしい。後半、心に灯りがともるように景色の中にも色がポッと咲いて!くまとやまねこが共に歩むラストも強く心を打つ。第1回MOE絵本屋さん大賞第1位、2009年「この絵本が好き!」第1位、第40回講談社出版文化賞絵本賞受賞。

DATA◆湯本香樹実・文 酒井駒子・絵「くまとやまねこ」(河出書房新社)1300円(税別)

◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピーです)

 

 

やまねこに会って、くまはやっと救われました。

分かってあげられたのは

同じ思いを知っているから。

 

◯酒井駒子さんの他の絵本の感想などはこちらです

 

2020.3.29 コロナ禍で外出自粛が続く中で東京は大雪。雪がすべてを洗い流してくれたらいいのに。読書は又吉直樹「人間」。

 

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