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【絵本/感想】ペク・ヒナ:作 長谷川義史:訳「ぼくは犬や」-人形の造形力、画の構成力、シンプルながら練られた物語性!ペク・ヒナワールド全開!

  「天女銭湯「あめだま」の韓国の絵本作家ペク・ヒナ、彼女の日本での最新作が出た。主人公は「あめだま」にも登場した犬のグスリ。グスリって、ジャック・ラッセル・テリアかと勝手に思っていたけど(表紙を見よ!)雑種犬なのね。ちなみにグスリのおかあちゃんは近所のボスママで毎年たくさん子供を産んでるらしい。というわけで、グスリが外で出くわす犬はほとんどが兄弟犬なのだ。

 

 で、もちろん「あめだま」の家族たち、おとうちゃん、おばあちゃん、子供のドンドンも登場する。この絵本はグスリがドンドンの家にやって来た頃の話だ。いつもながらだが、ペク・ヒナが作る登場人物たちの人形の造形が素晴らしい。しかも対象に対する鋭い観察力、ダイナミックな画の構成力、シンプルだけどしっかりと練られたストーリーなどなど、彼女の絵本は見るものの心を捉えて離さない。う〜ん、いいよなぁ。

 

  みんながお出かけしてしまい玄関の前に座り込んでいるグスリの後ろ姿の切ないこと!ベランダに寝そべって「まだ まだ まだ まだ?」とひたすら散歩を待っている姿の愛おしさ!そして、「さんぽや!」とおばあちゃんに連れられ飛ぶように外に出たグスリの狂喜乱舞!お腹がおかしくなってベッドでウンチしちゃう姿の可愛らしさ!「どんくさいなぁ にんげんの こどもは」「しゃあないなぁ ほんまにもう」、長谷川義史の大阪弁訳が冴え渡る!終盤はグスリとドンドンのちょっと泣けるエピソード。犬と人との暮らし、その日々の愛おしさを描いてなんとも素敵な絵本だ。

 

 ペク・ヒナは児童文学、青少年向けの文学作品に与えられる世界的な賞、アストリッド・リンドグレーン記念児童文学賞をこの春受賞したばかり。さらなる新作にも期待したい。

DATA◆ペク・ヒナ・長谷川義史「ぼくは犬や」(ブロンズ新社)1400円(税別)

 

◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピーです)

犬と人とが生きている。この永遠のような日々よ!

なんだか忙しい毎日やなぁ。

 

 ◯ペク・ヒナ、他の絵本の感想などはこちら

◯アストリッド・リンドグレーン記念児童文学賞のサイトはこちら

 

2020.6.23  日本ではフツーの日常が戻りつつあるけれど…。読書はブレイディみかこ「ワイルドサイドをほっつき歩け」

 

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