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【書評/童話】ハン・ガン「涙の箱」-ノーベル賞作家ハン・ガンが書いた童話!それは、美しく力強い涙を巡る物語


 ノーベル賞作家ハン・ガンが書いた童話だと知って手に取った。挿画と挿し絵はこのブログでも紹介したことがあるjunaida。この表紙、いいなぁ。

 ある村に住む一人の子ども。みんなが予測も理解もできないところで涙を流し「涙つぼ」と呼ばれていた。クモの糸に羽がひっかかったトンボを見てずっと涙を流したり、近所のおばさんがしわくちゃの手で頬をなでるだけでも澄んだ涙がこぼれ落ちた。

 そんな子どもの村に黒い服の男がやって来る。〈青い明け方の鳥〉を連れた彼はいろいろな涙を集めていて、今は「純粋な涙」を探し求めている。純粋な涙、それは「その涙に触れるだけで、どんなに固く凍りついた心でもゆっくり溶けはじめる」、そんな涙。子どもの涙がそうなのかもしれない。

 

 結局、子どもはこの男と共に旅をすることになる。向かった先で出会ったのは今まで一度も涙を流したことがないというお爺さん。彼は男からたくさんの涙を買って…。ここからの展開が素晴らしい。「影の涙」の意味、泣くことができなかったお爺さんの過去。そして、黒い服の男の真実。物語の中で涙がその意味を変えていく。彼が最後に子どもにかける「きみの涙には、むしろもっと多くの色彩が必要じゃないかな。特に強さがね。怒りや恥ずかしさや汚さも、避けたり恐れたりしない強さ」という言葉が印象的。

 深読みすればいろいろな解釈が可能な詩人でもあるハン・ガンの美しく力強い涙を巡る物語。 ◆DATA ハン・ガン「涙の箱」(評論社) 

 

◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)

 

 

 

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