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【書評】綿矢りさ「激しく煌めく短い命」-13歳、京都で出会った。32歳、東京で再会した。久乃と綸、2人の女性のラブストーリー!!

 

 綿矢りさ史上最長の1300枚!634ページ!分厚い!!女性同士の恋愛を描いた物語だ。全体は二部に分かれていて一部が「13歳、出会い」、二部が「32歳、再会」。これで基本的な構成は分かる。一部の中学時代は著者の生まれ故郷の京都が、二部の社会人時代は東京が舞台になっている。

 長いのには訳がある。確かに二人の恋愛がど真ん中にあるのだけど、著者自らの体験と思われる時代のいろいろ、ルーズソックス、ブルセラショップ、SPEEDなどなどの話や京都の人権教育やこの街ならではの差別意識なども描かれていて、物語にリアルさと奥深さを与えているのだ。

 中一のクラスで一緒になった悠木久乃と朱村綸(彼女の両親は中国人のようだ)。おとなしくて学校ではバリアを張っている久乃と誰とでも楽しそうに話す人気者の綸、対照的な性格の二人がしだいしだいに惹かれ合い、自らの気持ちに気がつき、戸惑いながらも関係を深めていく様子を綿矢りさは細やかに描いていく。その時々の会話、その時々の言葉、その時々の思い、その一つ一つが読む者の心にしっかりと刻まれていく。しかし、二人のこの性格の違いがその後の亀裂を招き、中学の卒業式でのいろいろな思いが暴発したような一大事へとつながっていくのだ。

 そして、東京での第二部。「再会」とタイトルにあるので、二人がどのように出会い、どうやって再び心を通じ合っていくのかドキドキしながら読み続けていくことになる。久乃は広告代理店の営業をしているが枕営業を繰り返し、綸は食材キットを小型トラックで運ぶ仕事をしていて、付き合ってはいるが片想いのような男がいる。京都という閉鎖的な土地を離れても二人は幸せとは言い難い。そこからの物語はぜひ手に取って読んで欲しいのだが、ここでも二人の思いの違いからすれ違いがあり、互いが互いを求めながらも順調には前に進まない。さらに、綸は…。久乃の決意を感じるラストがとてもいい。 ◆DATA 綿矢りさ「激しく煌めく短い命」(文藝春秋)

 

◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)