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【エッセイ】関口良雄「昔日の客」-昭和30~40年代の古本屋の暮らしと本をめぐる様々な出来事

昔日の客 昔日の客
関口 良雄

夏葉社 2010-10
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 しみじみ良かった。この本、装幀からしてたまらない。布の表紙はもちろんだが、ご本人による題字と著者名、これが何ともいいのだ。この表紙をつらつらとながめながら酒が飲めるなぁ、これだけでいい気分だなぁ、と下戸ながらも思ってしまう私である。

 

 待望の復刊といわれ昨年話題になった「昔日の客」。これは大森にあった山王書房という古本屋の主人関口良雄さんのエッセイ集だ。ここに書かれているのは昭和30年代から40年代の古本屋の暮らしと本をめぐる様々な出来事である。関口さんの人柄からか、そこに集まる本の魅力からか、山王書房にはいろいろな人がやって来る。有名作家から市井の本好き、そして、作家志望の若者たち。彼らを語るその語り口は平易だが滋味があり、ヘンにたたみかけたりしない上品さがある。酔うと有名な先生の前でも歌い踊り出すという関口さんだが、文章には彼の人間性がそのまま現れているようだ。

 

 正宗白鳥、上林暁、尾崎一雄、尾崎士郎など、作家たちとのエピソードももちろんいいが、個人的には警察署長の娘百合子さんと尾崎一雄との交流を描いた「可愛い愛読者」や季節季節の花を持って山王書房を訪れた塩谷さんの話「大山蓮華の花」など市井の人々の話が心に残った。若き野呂邦暢とのエピソードを綴った表題作「昔日の客」も素敵だ。

 

 これはけっして古き良き時代の話でも電子書籍時代の夢物語でもない、と僕は思う。だって、この本の復活を望む多くの人がいて、それを実現させた孤高の若き編集者がいて、復刊された本は見事にヒットしたのだ。今日もどこかの書店や古本屋で、本をめぐるいろいろなエピソードが生まれているに違いない。都会の喧噪の中、彼らの顔は見えず、声もよくは聞こえないけれど。

 

 

2011.1.21 芥川賞・直木賞も決まりましたね。どちらも2作受賞でめでたしめでたし。本屋さんもお喜びでしょう。あ、豊崎由美さん、っていうかトヨザキ社長が始めた「Twitter文学賞」の投票も始まってます、どうぞよろしく。

 

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