帯がズルい。「なぜ今まで片岡義男の珈琲エッセイ本がなかったのか?」って書いてある。え〜〜っ、そんなことないよなぁ、何かなかったっけ?小説には珈琲たくさん出てくるけれどエッセイはないか?でも片岡さんの小説ってエッセイっぽかったりもするから…とかとか思っているうちに本屋のレジに並んでる。ズルい!
で、読んでみると、これはもう珈琲なんか超えちゃっておもしろい。ある意味、珈琲なんかどうだっていいぐらいおもしろい。45篇の書き下ろし!!!!確かに珈琲が起点になってたり、背景だったりしてるわけだけど、エッセイとしてのおもしろさがバツグンなのだ。
2篇目の「コーヒーでいいや」という言い方の話がすこぶるおもしろいし、京都にある「静香」という喫茶店の椅子へのこだわりには驚かされるし、ビートルズの4人のポートレートとそこに記されたサインの物語はドキドキするし、美空ひばりとの不思議な邂逅はいつまでも心に残る。レコードと歌とコーヒーの関係、映画の中のコーヒーの話は、遥か昔、若き日々を思い起こさせてくれる。お茶の水の聖橋から見る電車の揃い踏み写真におおっと声をあげ、名曲喫茶の話にウンウンと頷く。ところどころに入ってる写真がまたいい。
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