また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【エッセイ/書評】片岡義男「珈琲が呼ぶ」-書き下ろし全45篇!これはもう珈琲なんか超えちゃっておもしろい

 

 帯がズルい。「なぜ今まで片岡義男の珈琲エッセイ本がなかったのか?」って書いてある。え〜〜っ、そんなことないよなぁ、何かなかったっけ?小説には珈琲たくさん出てくるけれどエッセイはないか?でも片岡さんの小説ってエッセイっぽかったりもするから…とかとか思っているうちに本屋のレジに並んでる。ズルい!

 

 で、読んでみると、これはもう珈琲なんか超えちゃっておもしろい。ある意味、珈琲なんかどうだっていいぐらいおもしろい。45篇の書き下ろし!!!!確かに珈琲が起点になってたり、背景だったりしてるわけだけど、エッセイとしてのおもしろさがバツグンなのだ。

 

 2篇目の「コーヒーでいいや」という言い方の話がすこぶるおもしろいし、京都にある「静香」という喫茶店の椅子へのこだわりには驚かされるし、ビートルズの4人のポートレートとそこに記されたサインの物語はドキドキするし、美空ひばりとの不思議な邂逅はいつまでも心に残る。レコードと歌とコーヒーの関係、映画の中のコーヒーの話は、遥か昔、若き日々を思い起こさせてくれる。お茶の水の聖橋から見る電車の揃い踏み写真におおっと声をあげ、名曲喫茶の話にウンウンと頷く。ところどころに入ってる写真がまたいい。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2018.4/4週)

 さて、出る本。昨年度の本屋大賞・翻訳小説部門で1位に輝いた「ハリネズミの願い」の作者トーン・テレヘンの新作が出ます。「きげんのいいリス」(4/26)!アマゾンの紹介を見ると読みたくなるなぁ。ううむ。

 

あなたに似たどうぶつがきっといます。『ハリネズミの願い』の作家による幻の名作完全版!ブナの樹の上に暮らす忘れっぽくて気のいいリス。知っていることが多すぎて、頭の重みに耐えかねているアリ。始終リスを訪ねてきてはあちこち壊す夢みがちなゾウ。思いとどまってばかりのイカ。チューチュー鳴くことにしたライオン。……不器用で大まじめ、悩めるどうぶつたちが語りだす、テレヘン・ワールドへようこそ!

 

 

 幻の名作の完全版、なんですね。表紙、ハリネズミのデザインを踏襲した、いい感じの表紙だなぁ。

 

 さて、宮部みゆき待望の新作「あやかし草子 三島屋変調百物語伍之続」(4/27)も出ます。「おそろし」「あんじゅう」「泣き童子」「三鬼」と続いてこれがシリーズ5冊目。そして、第一期完結編、だそうです。心に傷を持つ主人公が語り手たちと対峙して聞く百物語。もののけたちもたくさん登場してきますが、その奥にあるのは「人」の怖さと悲しさ。ただの怪談集とは違います。ぜひ、一読を!!

 

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【文学賞】第31回 三島由紀夫賞、山本周五郎賞のノミネート作が発表になりました

まずは三島由紀夫賞のノミネート5作です。

 

 一番下のノミネートは小谷田奈月さんの「無限の玄」です。これは 「早稲田文学」増刊女性号に掲載されましたが、まだ本にはなっていません。残念ながら、僕は全部未読。予想は全然つかないけれど、高橋弘希さんは色々な賞でノミネートされてるので有力候補かな、と思っています。

では、山本周五郎賞のノミネート5作です。

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【映像化】こうの史代原作ドラマ「この世界の片隅に」「夕凪の街 桜の国2018」のヒロイン決定!!

 じゃ〜ん!って書きたかったんだけどなぁ。どちらものんさんではないようです。「この世界の片隅に」のヒロインすずは松本穂香さんで決定したみたい。え〜っと「ひよっこ」の眼鏡のあの子、今はauのCMで神木隆之介と共演してますね。7月からTBS系「日曜劇場」枠で連続ドラマとして放送です。う〜ん。いや、松本穂香は悪くないけど。

 

 もう一つ、こうのさんの名作「夕凪の街 桜の国」の方は「2018」というのがタイトルに付いて、今年の8月6日に単発ドラマとして放送されます。こちらの主人公、七波は常盤貴子さんで皆実は川栄李奈さんに決定しました。詳しくはこちらを見てください。

 

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【写真集/感想】椎名誠「犬から聞いた話をしよう」-旅で出会った犬たちよ!彼らを見つめるシーナの眼差しが優しい

 まず、タイトルがいい。天下無敵!タイトルだけで読みたくなる。そして、表紙がいい。この写真は中でも再度登場しているのだが、シーナがアルゼンチンの地球最南端の町で出会った犬だ。レストランに入った主人を彼(彼女?)はじっと待っている。そして、写真がすべてモノクロームなのもいい。どこかで深く旅の哀愁を感じる。


 シーナは旅の人だが、その途上でたくさんの犬の写真を撮る。それをまとめたのがこの写真集だ。全体は「犬と子供はともだち」「犬にはヒルネがよく似合う」「一匹犬」など10のセクションに分かれている。それぞれの写真に短い説明が付き、ちょっと長めの犬エッセイが5つ、途中に挿入される。このエッセイもなかなかいい。昔飼っていた犬の話、石垣島でのワンサという犬との出会い、バリ島で会った神の犬、カヌー犬ガクとのことなどなど、どれも強く心に残る。


 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2018.4/3週)

 さて、出た本。「本屋大賞2018」出てました。って、10日に大賞が発表になって、その日に搬入になってるのですが、いったいどれぐらい前に結果は分かってるんでしょうね?そうとう前なのかな?ちょっと本屋で立ち読みしてみましたが、一次投票の結果なども載っていてけっこうおもしろそう。本選びの参考になるかも。

 

 出る本、天童荒太の新刊「ペインレス 上・下」(4/20) が出ます。「診察したいんです。あなたのセックスを」というコピーも刺激的だけど、紹介文にあった「人間の倫理とDNAを決壊させる長編小説」って…。新潮社からのメールにはこんな記述もありました。

 

この小説に出て来る登場人物は、天童さんの小説の中でも極端な変わった人間たちばかりである。かなりの新境地なので、『家族狩り』のファンは喜ぶ気がするが、『永遠の仔』『悼む人』しか読んだことのない読者はびっくりしてしまうかもしれない(もっと読めば、根っこは一緒であることがわかってくる)。

いずれにしても話題作、問題作であることは間違いなさそう。

 

(追記 4.16) 特設サイトができました


 

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【BOOK NEWS】「はなちゃんの夏休み。」重版と「Hello Again またあうときの約束。」発売!

 糸井さんちのジャック・ラッセル・テリア、ブイヨンの死は僕にも悲しい出来事でしたが、やはり糸井さんのショックは大きく(そうだよなぁ)、「ほぼ日」で毎日更新される「今日のダーリン」でも、連日彼女の話が出てきます。

 

 さて、そんな中でもちょっとうれしいニュースが。一つはずっと欠品状態だった石田ゆり子さんの「はなちゃんの夏休み。」が重版し、販売が再開されました。これ実は、石田さんちのラブラドールレトリーバーはなちゃんからブイヨンへのお手紙、という形で書かれたエッセイなのです。だから、ブイヨンへの呼びかけがいっぱい!たとえばこんな感じ!

 

「ぶいちゃん、きょうもたのしくね、えがおで」

「ぶいちゃん、あいさつは、おおきなこえで」

「ぶいちゃん、まいにち、すこやかでね、いっぱいわらってね」

「きょうも、すてきな、みみのかくどで」

「ぶいちゃん、にくきゅうはやわらかく。きょうもいいこで。げんきで」

 

  再販を待っていた人も多かったようなので、これはうれしいニュースですね。僕も何度かこのブログでとり上げているお気に入りの一冊です。詳しくは下の感想を読んでみてください。

◯「ほぼ日」のこの本の紹介はこちら!

 

 さて、もう一冊はブイヨンたち三姉妹のお母さんルーシーの飼い主イワサキユキオさんの新刊です。前作「Say Hallo あのこによろしく。」のことはブイヨンが旅立った時にちょっと触れましたが、その続編ともいえる「Hallo Again またあうときの約束。」では、ルーシーがいた17年の日々を写真と文章で振り返っています。絶版になっている「Say Hallo あのこによろしく。」の内容も短く再構成されているそうです。ううむ、これは読みたいぞ。

 

◯イワサキさんからのコメントはこちら

ほぼ日刊イトイ新聞 - Say Hello! あのこによろしく。

◯ブイヨンが旅立ったときの僕のブログ


 

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