また、本の話をしてる

おすすめ本の紹介や書評、新刊案内など、本関連の最新ニュースを中心にお届けします。

【書評】窪美澄「トリニティ」-1964年、出版社で出会った3人の女性の仕事と人生をリアルに描いた傑作小説!

 これは今年のマイベスト候補。直木賞にもノミネートされているので発表が楽しみ。多分、取れるでしょう!これを落とすようなら選考委員はアホだ。

 

 「平凡パンチ」「anan」などを出した頃の平凡出版(現・マガジンハウス)を彷彿させる出版社が舞台。1964年、東京五輪の年にこの会社で出会った3人の女性の物語だ。恵まれない子供時代を過ごしたイラストレーターの妙子(ペンネームは早川朔)は、自ら売り込んだ作品が目に留まり新雑誌の表紙に抜擢される。親子三代の物書きで母親が有名な作家だったフリーライターの登紀子は、その新雑誌で頭角を現し、なくてはならない存在になる。同じ出版社に事務職として入った鈴子はその後、専業主婦の道を選ぶ。三者三様の生き方、そして、考え方。自らの人生で何が欲しくて、何を犠牲にするのか、それともしないのか。

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2019.7/2週)

 さて、出る本。少し前に単独で紹介した川上未映子の話題作「夏物語」(7/11)出ます。詳しくは下の記事を読んでみてください。川上未映子の小説が初めての人は第一部が読めるリンクも貼ってあるので、どんな感じの小説なのか読んでみることをお勧めします。同じくリンクしてある特設ページでは「文學界」最新号のインタビューの一部も読めますよ。ううむ、いろいろ気になるぞ。

 

 

 

 ミロコマチコの2年ぶりの絵本「ドクルジン」(7/12)も出ますよ。アマゾンの内容紹介を引用してみますね。

 

巨大生命体・ドクルジン誕生

なんて きもちが いいんだ
ちからが どんどん あふれてきたぞ

生き物たちが、山が、海が、動き出す。
ミロコマチコが創造する、
プリミティブ&サイケデリックな神話的新境地!

 

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【ドラマ】そろそろスタート!2019夏ドラマはこれを観たい!!!!!

 さて、夏ドラマ。個人的に観たいドラマの紹介です。まずは、やっぱりこれは観ちゃう!池井戸潤ドラマ、TBS系日曜21時からの「ノーサイド・ゲーム」。いつもの枠で今度の日曜日から始まります。主役が大泉洋&松たか子ならテッパン!視聴率も間違いなく取れそう。ラグビーチーム再建のお話です。

 

 

 次に気になるのが黒木華主演、TBS系金曜22時「凪のお暇」、高橋一生、中村倫也他。タイトル、なんだかなぁって思ったのだけど同名コミックが原作なんですね。「ワケあって恋も仕事もSNSも全部捨ててみた」というコピーが気になります。

 

 もうひとつ、杏主演の「偽装不倫」。日テレ系水曜22時。不倫ものは好きじゃないけどこれは偽装なので、まぁいいか。さらに、TBS系火曜日22時、石原さとみ、福士蒼汰主演の「Heaven?〜ご苦楽レストラン」。主題歌はあいみょん!超変わり者オーナーが作ったフレンチレストランの話。以上3つはすべてコミックが原作。コミック原作、多すぎない?個人的にはまぁおもしろければそれでいいけれど、オリジナル脚本のドラマも観たいなぁ。

 

 

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【BOOK NEWS】5日発売「文學界」8月号に村上春樹の新作短編2作同時掲載!

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文學界2019年8月号

 

 金曜日発売の「文學界」最新号に村上春樹の短編2作が掲載されます。表紙には、連作短編「一人称単数」その4と5、とあり、タイトルは「ウィズ・ザ・ビートルズ With  the Beatles」「ヤクルト・スワローズ詩集」になっています。

 

 「文學界」ではすでに2018年7月号に3作、「石のまくらに」「クリーム」「チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ」が掲載されているのでこれらと連なる2作と考えてよさそうです。短編5作で単行本になるのかな?

 

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【新刊案内】出る本、出た本、気になる新刊!  (2019.7/1週)

 今週は出た本3冊。まずは「ざんねんないきもの事典」「続ざんねんないきもの事典」「続々ざんねんないきもの事典」に続くシリーズ4冊目「もっとざんねんないきもの事典」、出てました。ざんねんシリーズ、おもしろいですよね。ずっと読んでいる人は読み逃しなく!

 

 で、このシリーズを監修していてテレビでもおなじみの今泉忠明さんが同じく監修した、これも出ています。おぉぉぉぉぉ!

 

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【絵本/感想】ショーン・タン「セミ」-ショーン・タンが送り続ける社会の片隅で生きている人々へのエール!

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 ちひろ美術館・東京での展覧会もすごくよかったショーン・タンの最新作。帯と裏表紙にこんな言葉がある。

 

セミ おはなし する。

よい おはなし。かんたんな おはなし。

ニンゲンにも わかる おはなし。

トゥク トゥク トゥク!

 

 翻訳は岸本佐知子。この「トゥク トゥク トゥク!」はセミの鳴き声なのだろうか?本文でも文章の最後はこのフレーズで終わっている。岸本訳はリズミカルで、そのリズミカルさがなぜかもの悲しい。

 

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【BOOK NEWS】世界十数ヵ国で翻訳決定!川上未映子の注目作「夏物語」、cakesで第一部を全文公開

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 この「夏物語」という小説、なんと世界十数ヵ国での翻訳がすでに決まっているらしい。こういうのはどういった経緯で決定するんでしょうね?そう書いてあると、なんだかすごいんじゃないか、と思ったりもするのだけど。

 

 で、どういう物語なのか、ちょっと長いですが文藝春秋のページから作品紹介の文章を引用してみました。

 

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