絵本の雑誌「MOE」7月号の特集「谷川俊太郎の絵本」を読んで彼の未読の絵本で気になるものを読んでいる。意外と読んでないものが多い。「わたし」は1976年に出された初期の認識絵本の名作だ。今でいえばヨシタケシンスケワールドにつながるものがある。
見開きページの左側はすべて「わたし」の絵。右ページはそれを受けて、たとえば最初の見開きならば「おとこのこから みると おんなのこ」、次の見開きは「あかちゃんから みると おねえちゃん」「おにいちゃんから みると いもうと」という風に続いていく。谷川さんは折り込み付録の中でこの絵本を作った気持ちの底には「子どもたちに自分を他人の目で見ることをすすめたいって願いがあったんじゃないかな」と語っている。シンプルな作りでその意図をシンプルに伝える、70年代にこういうことができたのはやはりすごいことだと思う。
で、谷川さんの真骨頂は次々出てくるその「相手」のセレクトにある。「きりんから みると ちび」「ありから みると でか」、さらに「がいじんから みると〜」「うちゅうじんから みると〜」、「れんとげんでみると〜」「ほこうしゃてんごく では〜」と続いていく。ううむ、これは素晴らしいなぁ。長新太さんの絵は僕らが知っている彼の絵よりずっとシンプル。でもいい!!
◆DATA 谷川俊太郎:文 長新太:絵「わたし」(福音館書店)990円(税込)
◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピー、引用も)