いやぁこのタイトル、力あるなぁ。これは読まねば、と強く思ったもの。犬を飼っているけれど猫もけっこう好きな僕は、彼らにとても興味がある。犬の散歩の途中でもいろいろな猫に会うのだけど、うちの犬は大の猫嫌いで見つけたら激しく吠えるのでなかなか接触できない。でも、なんだかいいんだよなぁ猫って。
さて、このタイトル、作者の愛猫であるコウハイが梅干しの種を飲み込んで手術を受けた時に先生から言われた言葉から来ている。「猫には楽しい記憶だけが残ります。コウハイちゃんには、梅干しの種(一部略)を転がして遊んでおもしろかったな、という記憶だけが残り、苦しくなって手術して、入院までして大変だったということは、そのうち忘れます」、だから先生は、また同じことをするかもしれないからと、注意を促したのだ。なるほど、そういうことなのか。
作者のエッセイスト石黒さんチには先住犬のセンパイがいた。そこに動物愛護団体ランコントレ・ミグノン(「ほぼ日」でもおなじみ!)で出会った雑種の猫がやってくる。それがコウハイ!6歳の男の子。
この本にはコウハイ、センパイと石黒さんの交流、そして、知人友人のところにいる猫たちの様々なエピソードが書かれている。猫を飼っている人ならば「そうそうそうよねぇ」と思ったり、「あっ、でもウチのは違う」と感じたりいろいろな反応があるのだろうけれど、僕はもうなんだかやたらと猫愛が強まるばかり!猫好きの人はもちろん、そうでない人にもぜひ読んで欲しい。
各章のタイトルがすべて「猫は、」で始まっているのが印象的。「猫は、好きをおさえない」「猫は、たっぷり時間をかける」「猫は、手柄にしない」などなど。全59章をこういうスタイルにまとめるのってスゴいな。表紙と中の絵はミロコマチコさん、内容に合わせた挿絵というより自らの猫愛を絵にしてるのがなんとも彼女らしい。
◯この本は2021年2月幻冬舎文庫から文庫化されました。
○石黒さんのブログでセンパイ・コウハイの姿を見られます。
○こちらにも。石黒さんの他のエッセイ関連の連載です。
○ランコントレ・ミグノンのホームページはこちら。
2017.9.16 愛犬ひなた昨日で11歳。この人は絶対に猫が好きになることはないでしょう。読書は宮部みゆき「この世の春 上」。
○おまけ
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