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【書評】佐藤正午「夏の情婦」-今の佐藤正午の作品は間違いなくこの小説集の延長上にある

 直木賞を受賞した佐藤正午の1988年の恋愛小説集。デビュー作「永遠の1/2」から4年経っているので「若書き」とは言えないけれど、少しだけそう感じる部分もある。しかし、5つの物語どれもがすこぶるおもしろい。佐藤正午の小説はある種のクールさと情緒性が同居していてそこが魅力なのだが、この5編にも同じようなことを感じることができた。


 個人的に一番好きなのは「片恋」という物語。九州の地方都市に暮らす小説家が主人公だ。彼が昔のクラスメイトの女性と再会したことが発端になる。想い出のように語られる13年前の高校時代のある出来事。主人公の彼が思いを寄せるTという同級生、友人Kのおせっかいから2人は会うことになるのだが…。現代と過去を行き来しながら語られる若き日の恋と悔恨。そして、13年という時の流れ。なんとも苦く、なんともせつない物語だ。

 

  他の作品も男女の関係がとてもおもしろく描かれていて、まったく古さを感じさせない。今の佐藤正午の物語は間違いなくこの物語たちの延長上にある、そう思わせてくれる一冊だ。

 

○佐藤正午、直木賞受賞作「月の満ち欠け」の書評はこちら

 

2017.9.21 本当に臨時国会冒頭に解散しちゃうのかな?小池新党の動きもあやしいなぁ。読書は宮部みゆき「この世の春 上」。

 

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