ううむ、これはいいなぁ。素晴らしい!シャーロット・ゾロトウ作のこの絵本は1974年に福音館からマーサ・アレキサンダーの絵で一度出ている。一度というか、これがオリジナル版。今回出たのは、酒井駒子が訳して絵を描いた日本オリジナル版だ。僕は酒井さんの絵と物語が好きなので迷わず手に取ったのだけれど、この物語にはちょっと驚いた。
幼い妹の世話を焼くしっかり者のお姉さん
ねえさんは、なにから なにまで せわを してくれます。
ねえさんに できないことなんて ないんだ、
と いもうとは おもっていました。
なんでも知っていて、泣いてるときにも優しくしてくれるお姉さん、
でも、あるひ。
いもうとは、なんだか ひとりになりたいと おもいました。
ここから「ドラマ」が大きく動く。家をそっと出た妹は、道をどんどん歩いて草原の中に入っていって…。これから後はぜひぜひあなた自身で読んでみて欲しい。姉と妹が互いの心の奥底にあるものに気がつき、その関係が優しく変わっていく。とてもデリケートな心の動きをシャーロット・ゾロトウは見事な物語に仕上げている。そして、酒井駒子の繊細な絵はこの物語にピッタリなのだ。繰り返し、いつまでも見ていたいと思う傑作絵本。
DATA◆シャーロット・ゾロトウ作 酒井駒子絵・訳「ねえさんといもうと 」(あすなろ書房)1300円(税抜)
◯勝手に帯コピー〈僕が考えた帯のコピーです〉
ねえさんはいもうとに
いもうとは ねえさんに
初めて出会いました。
2019.5.31 先日行った「ショーン・タンの世界」展がすごくよかった。このブログにもそのうち感想アップします。読書は窪美澄「トリニティ」。
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