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【書評】絲山秋子「小松とうさちゃん」-どんな人生にも陰影があり、悲愁がある。いいなぁこれ!

絲山秋子「小松とうさちゃん」

 

 絲山さんの小説は好きでたいがいは単行本で読むのだけど、ちょっとタイトルで躊躇してしまって文庫になってから読んだ。しかし、これは大失敗。「小松とうさちゃん」は、かなりおもしろい物語だった。

 

 さえないおっさん2人の話だ。独身の小松は薄給の非常勤講師、うさちゃんこと宇佐美は蓄電会社に勤めるサラリーマン。登場はしないが妻子はいるらしい。彼はネトゲで盟主みたいなことをやっていたりもする。いずれにしても取り立てて目立つところもない平凡な男たちだ。2人は居酒屋で出会った飲み友達である。

 

 ある日、小松は新幹線の中で1人の女性と出会う。あとで同い年だと分かるみどりという女性は、元自動車教習所の教官だったが50歳を過ぎてから「見舞い屋」の仕事をしている。知らない人の知人を装って病院などに見舞いに訪れるというその仕事、少々いかがわしさもあり、彼女は後ろめたさを感じている。みどりのそんな仕事を知らないまま小松は
彼女に好意を抱く。彼のこの恋がその人柄と人生を感じて、なんだかとても素敵だ。しかし、みどりの仕事を取り仕切っている八重樫という男もまた、彼女に愛着を感じているらしいのだ。そして…。

 

 ウブで女性との付き合い方も分からない小松はうさちゃんにいろいろと相談を持ちかける。平凡な人生でも時に困ったことが起こる。そんな時に頼りになる人間がいるのか?小松とうさちゃんの飲み仲間としての関係、人と人との在り方がとてもいい。どんな人生にも陰影があり、悲愁がある。当たり前のことではあるけれど、絲山秋子はそれぞれの人間をしっかりと描くことで読む者にそのことを教えてくれる。
DATA◆絲山秋子「小松とうさちゃん」(河出文庫)720円(税別)

 

◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピーです)

 

飲み友達のおっさん2人、今夜はどんな相談事?

なんにもないけど、

いろいろあるなぁ。

 

2020.2.15 いろんなことに決着がついてスッキリ。読書は宮部みゆき「黒武御神火御殿」

 

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