絵が、なんというかすごく変で、この変さ具合がかわいくて魅力的です。何度見ても不思議で美しくて、そしてすごく奇妙です。
外国の絵本には詳しくないのだけど、これは古典中の古典と称される一冊でオバマさんが「人生最初の一冊」と語り、雅子さまも「思い出の宝箱」と話されていたらしい。作者はこの人も著名なマーガレット・ワイズ・ブラウン。で、ヘン?ううむ、ヘンなのか?ヘンといえばヘンなような気がしないでもないが、それほどヘンとか奇妙とも感じない。鈍いのかな?ううむ。
それにしても、この絵本が1947年に出ていることを思うとちょっと驚く。こういうストーリー性のない絵本って、当時は珍しくなかったのか?マーガレット・ワイズ・ブラウンの革新性をこの1冊に感じてしまう。クレメント・ハードの絵はいまでもまったく古びていないし、見ていて強く惹かれるものがある。
舞台は緑の部屋。その時間経過だけでこの絵本は出来ている。住んでいるのは子ウサギとおばあちゃんウサギ。ベッドに入った子ウサギは1日の終わりに眼に映るいろいろなものに声をかける。
おやすみ おつきさま
おやすみ あかりさん
おやすみ あかいふうせん
おやすみ にんぎょうのいえ
おやすみ ねずみさん
おやすみ だれかさん
カラーの見開きとモノクロームの見開き。しだいしだいに暗くなっていく部屋、窓の外に登ってくるおつきさま。子ウサギが眠りにつき、部屋に静寂が訪れる。不思議な余韻が読むものにもやってくる。
子供たちにとっては探し物絵本的な楽しみ方もできるだろう。子供を寝かしつけるのにもいいかもしれない。それより何より大人もじっくりと楽しめるのがうれしい。本棚の上の絵はマーガレット・ワイズ・ブラウンのもう一つの代表作「ぼくにげちゃうよ」の1ページ。本棚にもそのタイトル部分が見開きで置かれている。クレメント・ハード のこんな茶目っ気もいいなぁ。
◆DATA マーガレット・ワイズ・ブラウン:作 クレメント・ハート:絵「おやすみなさいおつきさま」(評論社)1000円(税別)
◯勝手に帯コピー(僕が考えた帯のコピーです)
おやすみ、みんな
おやすみ、ぼく。
◯これを読んで知りました!
2021.5.5 緊急事態宣言期間は延長になりそうですね。福岡とか北海道も危ないなぁ。読書は糸井重里「かならず先に好きになるどうぶつ」。
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