さてさて、ゴールデンウィークは絵本ウィーク!前回に続いてマーガレット・ワイズ・ブラウンとクレメント・ハードが作った絵本を読んだ。これもまた古典中の古典と言われる作品だ。出版が1942年なので「おやすみおつきさま」より早い。クレメント・ハードの絵についていうと、こちらの方が奇妙さ、というか、不思議さを感じる。特にカラーの絵!
この展開!これもまさに当時としては新しかったんだろうな。今読んでも少しも古くさくないし、おもしろい。最初のページ、家を出てどこかに行ってみたくなった子ウサギは母さんウサギに言う。
「ぼく にげちゃうよ」
母さんウサギはそれに答える。
「おまえが にげたら、かあさんは おいかけますよ。だって、おまえは とってもかわいい わたしのぼうやだもの」
日本では1976年に第1刷が出ているが、岩田みみさんによるこの訳文に少し古さを感じる。でも、この文体がいい味を醸し出しているのも確かなのだ。
さて、ここからどうなるのか?子ウサギは、魚になったり、岩になったり、小鳥になったりして母さんウサギの元から逃げると言い出す。でも、母さんウサギは魚になるなら猟師になって、山の上の岩になるのなら登山家になって、小鳥になるのなら木になって子ウサギを追っかけると言う。この繰り返しのおもしろさ!子ウサギの想像力の豊かさ!母さんウサギの切り返しの見事さ!子ウサギはサーカスに入って空中ブランコで逃げる、とまで言い出す。
このやりとりをカラーとモノクロームで表現するクレメント・ハードの絵もやはり素晴らしい。最後はなるほど、という納得のオチ!ラスト2つのカラーの見開きが特別に美しい。
◆DATA マーガレット・ワイズ・ブラウン:作 クレメント・ハート:絵「ぼくにげちゃうよ」(ほるぷ出版)1000円(税別)
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