さて、今年上半期の芥川賞、直木賞受賞作が発表になりました。どちらも2作同時受賞。芥川賞は石沢麻依さん「貝に続く場所にて」と李琴峰(りことみ)さん「彼岸花が咲く島」に決定!パチパチパチ!それぞれの内容紹介をアマゾンから!
◯石沢麻依「貝に続く場所にて」
コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。静謐な祈りをこめて描く鎮魂の物語。 ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人を隔てる距離と時間を言葉で埋めてゆく、現実と記憶の肖像画。
(群像新人文学賞 選評より)
記憶や内面、歴史や時間、ここと別のところなど、何層にも重なり合う世界を、今、この場所として描くことに挑んでいる小説 ーー柴崎友香氏
人文的教養溢れる大人の傑作
曖昧な記憶を磨き上げ、それを丹念なコトバのオブジェに加工するという独自の祈りの手法を開発した ――島田雅彦氏
犠牲者ではない語り手を用意して、生者でも死者でもない「行方不明者」に焦点を絞った点で、すばらしい。清潔感がある。 ーー古川日出男氏
◯李琴峰「彼岸花が咲く島」
記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。不思議な世界、読む愉楽に満ちた中編小説。
◯冒頭部分が読めます!
これはまったく予想できなかったのなぁ。どちらもおめでとうございます!
◯松浦寿輝さんによる芥川賞の講評
直木賞 ◯佐藤究「テスカトリポカ」
直木賞◯澤田瞳子「星落ちて、なお」
直木賞は山本周五郎賞受賞の佐藤究さん「テスカトリポカ」。5回目のノミネートだった澤田瞳子さん「星落ちて、なお」に決まりました。パチパチパチ!一穂ミチさんの「スモールワールズ」にも期待していたのですが。それぞれの内容紹介をアマゾンから!
◯佐藤究「テスカトリポカ」
鬼才・佐藤究が放つ、クライムノベルの新究極、世界文学の新次元!
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。第34回山本周五郎賞受賞。
◯澤田瞳子「星落ちて、なお」
鬼才・河鍋暁斎を父に持った娘・暁翠の数奇な人生とは――。
父の影に翻弄され、激動の時代を生き抜いた女絵師の一代記。
不世出の絵師、河鍋暁斎が死んだ。残された娘のとよ(暁翠)に対し、腹違いの兄・周三郎は事あるごとに難癖をつけてくる。早くから養子に出されたことを逆恨みしているのかもしれない。
暁斎の死によって、これまで河鍋家の中で辛うじて保たれていた均衡が崩れた。兄はもとより、弟の記六は根無し草のような生活にどっぷりつかり頼りなく、妹のきくは病弱で長くは生きられそうもない。
河鍋一門の行末はとよの双肩にかかっっているのだった――。
◯くどうれいん『氷柱の声』
◯高瀬隼子『水たまりで息をする』
◯千葉雅也『オーバーヒート』