「たまごのはなし」でブラチスラバ世界絵本原画展・金牌を取ったしおたにまみこの最新作。これも前作同様、絵本より少し文章量が多い絵童話だ。たまごがエラソーにいろいろ話す前作もおもしろかったが、この「さかなくん」も設定がかなり愉快!
「さかなくんです」「しょうがくせいです」で始まるこの物語。さかなくんは学校に行くのだけど、その学校はなぜか魚の学校じゃない。水の外の学校!さかなくんちはドーム型の大きな家で上にプールのような空間があって、彼はそこに住んでいる。ううむ、この世界、謎!というわけで、小学校に行くにはゴムのズボンをはいて、ガラスのヘルメットをかぶり、ゴム靴をはかなくちゃならない。やれやれ大変だ!
さかなくんが行く学校には鳥や猫や人間など様々な生き物が通っている。なんだか不思議な場所。しおたにまみこが描く世界は常にユニークだ。
足びれで歩かなくちゃならないから体育が苦手なさかなくん。特に自信がないリレーで転んでしまって早退。部屋でむっすりしているとトカゲさんとにんげんくんがやって来る。そして…。
足びれで歩かなくちゃならないから体育が苦手なさかなくん。特に自信がないリレーで転んでしまって早退。部屋でむっすりしているとトカゲさんとにんげんくんがやって来る。そして…。
ここまで来てこの設定と絵童話のテーマが見えてくる。多様性と寛容、いろいろな生き物がいて、得意不得意があって、それでも自分らしさを大切に生きて行けばいいことをこの物語は教えてくれる。さかなくんはかわいいし、しおたにさんの絵は魅力的。しおたにワールドがこれからどう展開されていくのか、ちょっと楽しみ!!
◆DATA しおたにまみこ「さかなくん」(偕成社)1300円(税別)