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決定!2019マイベストブック!!!!

 2019マイベストブック、決定しました。なんとか年内に発表できてよかったぁ。でもこういうのって決める時の気分でかなり変わるような気がします。あと、読んだ直後の感想と時間が経ってからの評価が違う物語も多いです。ま、そのあたりがこういうランキングを決めるおもしろさでもあるのですが。では、1位から!

*それぞれの表紙からアマゾンに飛べます。その下が僕の書評へのリンクです

 

1川上未映子「夏物語」


 ナンバーワンは文句なしで川上未映子さん「夏物語」。芥川賞受賞作をリライトしたものを冒頭に置くというのはそれだけでも勇気がいること。でも、この試みが文句なしに「効いている」。とにかくパワフルで女性の身体性にグイグイと迫り、読者に様々なことを問いかけてくる。女の人はもちろんだけど男性にもぜひぜひ読んでもらいたい傑作です。

 

2位以下は次の通り。

 

2絲山秋子「夢も見ずに眠った。」 

 

3ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 

 4夢枕獏・松本大洋「こんとん」 


5窪美澄「トリニティ」


6 原田マハ「美しき愚かものたちのタブロー」 


7ジュンパ・ラヒリ「わたしのいるところ」 


8朝井リョウ「死にがいを求めて生きているの」 

 

9ミロコマチコ「ドクルジン」 

 

10 南伸坊「私のイラストレーション史」 

 
 絲山秋子さんの「夢も見ずに眠った。」は、読んだ直後よりも今の方がはるかに評価が高い。旅という非日常が大きな役割を果たす男と女の物語。これ今また読み直してみたくなってきた。

 

 小説はさらに4冊。直木賞候補にもなった窪美澄さんと原田マハさんの作品。窪さんの「トリニティ」は出版社で出会った3人の女性の物語、三者三様の生き方、悩みが混乱の時代を背景に見事に描かれている。原田さんの「美しき愚かものたちのタブロー」は、国立西洋美術館のコレクションの基礎を作った松方幸次郎の物語。松方コレクションの運命に心が震える。

 

 ジュンパ・ラヒリ「わたしのいるところ」は、ずっと英語で物語を書いてきた筆者が初めてイタリア語で書いた小説。自分自身を投影した主人公の孤独とその凛とした佇まいが強く印象に残った。朝井リョウさん「死にがいを求めて生きているの」、最新作の「どうしても生きてる」もそうだが、朝井リョウは時代の中で生き難さを感じている人々のことをきちんと書こうとしている。彼の物語を必要な人は、今とても多くいるはずだ。

 

 小説でないものは今年は4冊。絵本、夢枕獏・松本大洋さん「こんとん」は説明するより読んで欲しい。とにかくすごい!ミロコマチコさん「ドクルジン」も同じだ。すごい絵本で説明できない。珍しくエッセイが2冊。大きな話題を呼んだブレイディみかこさんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」、作者の息子と彼の周りで起こる様々な問題、息子である「ぼく」の真摯さとクレバーさ!そして、作者が息子を見つめるその眼差しが素晴らしい。南伸坊さんの「私のイラストレーション史」を読めば亡くなった和田誠さんの素晴らしさがハッキリとわかる。それだけで十分。

 

 で、「夏物語」、文句なし!と言いながら影のベストワンがあります。小野不由美 十二国記シリーズ「白銀の墟 玄の月」!

 これ、全4巻なのですがまだ3巻の途中。図書館本などあって終わりに届かない。読了したら1位だろうか。「夏物語」とどちらを選ぶか。でも、未読の物語を1位にするわけにはいかないので「影のベストワン」ということで。

 

 というわけで今年のマイベストでした。どうでしたか?読みたいものがあったでしょうか?来年も素敵な小説、絵本、コミックに会えるといいなぁ。というわけで、今年はこれで終わり。みなさん、よいお年を!!

 

「今年読んだけれど、今年刊行ではない本のトップ5」も追記しておきます

1チョ・ナムジュ「82年生まれ、キム・ジヨン」

 

2はるな檸檬「ダルちゃん」

 

3保坂和志「ハレルヤ」


4宮部みゆき「昨日がなければ明日もない」


5佐藤多佳子「明るい夜に出かけて」

 

 

◯これまでの年間マイベストはこちらから


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